第9章 ジーク
「レッド、あれ見ろよ、光が差し込んでいるぜ」
森の奥の方にぽっかり空いた穴のように光の大きな空間が木々の間から見え隠れしてる。
「なー、あそこじゃねーの、雷が落ちた場所」
「そうかもな」
二人はアクセルを開きスピードを上げ、生い茂った草を払いのけるように移動すると、光の差し込む空間へ吸い込まれるように突っ走った。
「何だあれ?飛行機だぜ」
「何だこりゃ、墜落したんだなきっと」
「オイ、すげーぞ、見っけもんだぜ」
「まだ誰も来た様子はねーな」
「さっきの治安部隊の連中これを探してたんだ」
「ハハハ、バカめ、俺たちの方が先だったな」
レッドとタリーの二人はネネや翼がいるちょうど反対の場所へ現れた。
「ボスに土産もって帰ろーぜ」
二人はエアフラクターを降りて手当り次第に散らばった荷物を物色し始めた。
「いろいろあるぜ、おい」
「これ嗅いで見ろよ、女の匂いがするぜ」
「く〜たまんねーな」
二人は散らばった残骸を拾い集めながら徐々に折れ曲がった主翼に近づいていく。「おい、見ろよ、これ女だ」
「もったいねーな!ったく」衝撃で倒れた木の上に登り、辺りを見回していたとき、その足下に押しつぶされて死んでいた女性を発見したのだ。
顔にかかった布をどけ、死んでいる事を確認した。
「ほっとけ、他に誰かいね〜のかな」とっくに死体はスノーヴィたちが運んでるだろ!、さっき行列をなしてたな、あいつら」
「そこの、仏さんは木が邪魔で運べなかったんだろ、きっと」
「なるほど、レッドはよくわかってんな〜」
「当たりめーだろ」
翼と俊平は折れ曲がった翼の内側で考え込みながら熟睡してしまい、ネネだけがじっと外の様子をうかがいながら、近づいてくる彼らを警戒するしか無かった。
「でっけーな!この翼、見ろよ!」
「こりゃ相当な人数が乗ってたな」
「俺もこんなの乗れるようになりてーな」
「バカ、おまえみてーな奴は無理だよ」
「なんだよ、このやろー、わかんねーだろ」
「一発金の在処でも見つけりゃーさー」
「まーいいから」
「レッド、もう持てねーよ、荷物」
「そうだな!、一旦引き上げてボスに連絡だ」
「そうだな、これでも相当なもんだぜ」折れ曲がった翼の寸前まで来ていた二人は持ちきれない荷物を一旦持ち帰るため、寸手で引き返した。
ネネは覚悟を密かにしていたものの、見つからなかった事に安堵感を覚えた。
「なータリー」
「これ俺に似合うかな?ヒヒヒ!」レッドは戻る途中に、機長の帽子らしき物を見つけかぶってみせた。
その帽子は泥だらけでひしゃげていた。かぶる前に中の砂を払い落とし、つぶれた帽子の先端を指先で整えているとき、帽子の裏側から家族の小さな写真がぱらりと落下したが、その写真に二人は気づく事も無く、帽子だけが持ち去られていった。彼らの立ち去った土に残された足跡の横に、機長の家族の大切な写真だけが残されていた




