第9章 ジーク
「レッド待て、ちょっと止まれって、向こうから何か来る」
とっさに二人はエアフラクターが寄せれる場所へ隠れた。
遠くの岩陰を縫うように走る二機のエアフラクターがちらちらと見え隠れしてる。「ケケケケ!見ろよ治安部隊のアホどもだぜ」
タリーが薄気味悪い笑い声を発しながら、何かを企んでいた。
「いただくか?」
彼らは墜落機を探している二機のエアフラクターに乗る治安部隊を見つけると、行動を開始した。
「よし、そっと回り込め」
「岩山の抜ける辺りでつぶしてやろうぜ」この岩山を抜ける道に先回りして見渡せる場所から、二機が通過するのを待ち構えていた。
ガシャ!
「弾は入っているか?」
「問題ないさ、撃ち落としてやる、見てろよ、ちょろいもんさ」
彼らは、目の前を飛ぶ蚊をはたきつぶすように、やすやすと照準を定めた。遠くから風を切る音が響いてきた。
それはゆっくりと、岩山を縫いながら近づいてくる。
ブォーン!右手の岩陰を通過し、二人が隠れているやや正面へさしかかった時、パンパンパン!先頭を走る一人に銃弾が当たり、撃たれた拍子に後ろへのけぞり、その瞬間にエアフラクターが垂直状態になったかと思ったら横倒しに傾き岩へ激突した。ボム!一瞬火の手があがり、エアフラクターは大破した。距離を保って走ってきたもう一台があわてて手前で止め、状況を確認しようとしたとき、パンパンっと滑らかな二発の銃声が鳴り響き、一発は胸に当たり、もう一発は首をかすめた。
「やったか?」
「多分」
「クククク、ざま〜見ろ」
撃たれたもう一人は致命的な傷ではなかったが、もう息が切れる事は間違いなかった。
ピピッ!
「応援願う、こちら救護班、バレーで何ものかに襲撃を受けた・・・だれか・・・応援・・」
ピピッ!
「こちら本部、どうした、何があった?」
「・・・だれか・・・たすけてくれ・・・」
それ以上の声は出せなかった。
手下はエアフラクターにまたがり、倒れた場所まで近づいた。
「死んだかこいつら」
うずくまる隊員顔を覗き込むのと同時に右の脇腹を足で蹴った。
「こいつは死んでる、向こうのはどうだ?」
タリーが近寄り同じように右足のつま先で蹴った。
「う〜」
声は出すが、ほとんど意識は無かった。
「レッド、生きてるぜこいつ」
「ほっとけ、もう保たねーだろ」
「あ〜ぁ、のたれ死にか」
「へへへ、レッド、やったぜ!もう一台いただきよ」
「ラッキーだったなタリー」
「これで、お前の分も手に入ったって訳だ」
「ふふふ、もう一機はどうだ!」
「だめだ、あっちのは燃えちまって使い物にならねーよ」
「じゃーしょうがねーな、めぼしい物だけいただいて後はほっとけ」
二人は一台のエアフラクターを手に入れ、二機で岩山を走り抜けていった。
「おほほ、タリー、見ろよ、こっちのエアフラクター、機銃がついてるぜ」
「本当かよ、そりゃラッキーだったな」
「俺のと交換しねーか」
「やだね!」
二人はそのまま森の中へ走り去っていった。
しばらく深い森の中を並走しながら探していると、木々の暗がりを静かに移動するスノーヴイの集団を見かけたが、「うすきみわりー奴らだ」と一言漏らすと、彼らも森の中でスノーヴィと出会う事は良くある事なのでさほど気にもせず、彼らが森の奥へと歩く方角とは逆の方へエアフラクターを走らせた。




