第7章 ココロ 完
「どうしよう!」
中をのぞいた瞬間、ココロは先ほどの生き物を間近で見てしまったのだ。
ギャァ〜ココロは、どこから出たのかわからない奇声をあげたかと思ったらその場に気絶して倒れ込んでしまった。
そのバラバラになった機首のつぶれた胴体の中の薄暗い空間にも数匹の生き物がいたのだ。
その生き物の正体は、スノーヴィという、アメーバー状の生物だった。スノーヴィとはエゾが付けた管理上の個体名称で、この生物は独自に進化を遂げて生まれてきた生物だった。
体は半透明でクラゲのような質感をしており、大きさは一メートル程度、三分の一が透明のジェル状に覆われ、頭の部分には人間の脳のような形状が透けて見える。口は無く、白濁した目の奥には赤い瞳孔があるだけで、顔の表情は無にひとしい。彼らは人間の姿形とは異なるが、手足もあり、森の中や廃墟のビルの薄暗い世界で暮らしている。
彼らは大地震の地殻変動によって海底の底からわき上がってきたアメーバー状の生物が、津波や地殻変動で海に流され、海底に沈んだ人間の脳に寄生し、人の脳から生まれた生命体で、進化も早いが生命も三年程度しか生きられず、その間に細胞分裂を繰り返し、子孫を残していくのだ。
人の脳から突然変異によって生まれてきた彼らの体は、クラゲのような半透明の個体で、太陽に長時間さらされると、塩をかけられたナメクジが溶けるように水分が抜けて跡形もく消えてしまうため、暗くじめじめした場所を好み生息し、食べ物は地表にたまった放射性物質のウランやラドン、プルトニウムなどのエネルギーを摂取し、蓄える事で急速に進化していたのだ。
けして人間を食べたり襲ったりはしないが、死んだ人体の脳に寄生し、新たな生命の誕生させる独自の生態系を持つため、墜落した飛行機から遺体を運びだし、自らの生命繁殖を行っていたのだ。スノーヴィはけして野蛮な生物ではなく、それが彼らの自然な生命誕生の進化論にすぎなかったのだ。
散らばった遺体は、丁寧に集められ、スノーヴィの暮らす大小さまざまなな洞窟に安置されている。
エゾはこのスノーヴィに早くから利用価値を見いだしていた。
彼らを捕らえ、蓄えられた放射性物質のエネルギーを利用し、様々な実験を行い、グリーンパラディウムの創造と発展に活用してきたのだ。
そのためエゾの特殊部隊は、より強力なエネルギーを持つスノーヴィを捕らえると、あの巨大なエンジンマウンテンに運び入れ、グリーンパラディウムのエネルギーとして消化していったのだった。
スノーヴィは他の生きる生物を恐れたりはしない、会話はできないがテレパシーのようなものでイメージを伝える事もできるのだ。
元々人の脳に寄生して生まれてきた生命体なので、人間の知恵や行動といった事も理解できているのである。
ココロが出会った白い半透明なスノーヴィは個体数も多いが、エネルギーを蓄える量は少なかった。
白い半透明の個体以外にも、2種類のスノーヴィが存在していた。
一体は、半透明の個体がよりエネルギーを蓄えた黄色みがかった個体で、白い半透明の個体よりやや大きめのサイズをしていて透けている感じは少ない、もう一種類の個体は、スノーヴィと同じ個体だが、ブラックの半透明の質感を持ち、個体数も極少数で、ほとんど目にする事の無い白いスノーヴィの中のメラニズム種であり、非常に危険な個体なのだ。




