第7章 ココロ
「ふう!到着っと」
なれた手つきでブレークコードを調整し、転ぶ事なく着陸すると、急いでパラシュートをたたみ、また使える状態に丁寧にしまい込んだ。
これも父親から教わった事だった。
「すごいです、一番乗りだ、しかしすごいな、生きてる人いるのかな?」
ココロはあたりを見渡しながら少し歩き回った。なぎ倒された木々の間に、から挟まるように点在する破片をよけながら歩くのは少々気が引けた。
「誰も乗ってなんですか?」
物は散乱していたが、人の気配や人体の痕跡は見渡す限り見つける事はできなかった。
「これって、無人の飛行機かな?でも、物が散乱してるって事はですよ、絶対人が乗っていたって事ですよね?」
一人自問自答しながらめぼしい機材を探して歩いた。
不意に昨日カイチが言っていた言葉が頭の中をよぎった。
「喰われちまったんじゃね〜の」
一瞬パッと目を開くと身震いがした。
あたりをキョロキョロと見渡すが、人の気配も動物の気配も感じない森の中に、残骸と静けさがかえって恐怖感をかき立てた。
「どうしよう、一人で来ちゃいましたよ」
不意に我に帰ったココロは不安を感じた。
機械の部品の事で頭がいっぱいで、ここで何が起こっているかまでは想像していなかったのだ。
人の気配がない事にかえって不安を感じたのだった。
「神さん、ちょっと怖いです」
急におどおどしながらも、散らばる部品を見つけながら使えそうな物を物色していた。
「しかし、すごいですね〜誰かいませんか?」
おどおどしながらも声をかけ、散乱した機体の周りを歩き始めた。
大きな木に押しつぶされている機体の破片を覗き込みながらさらに声をかけた。「うわ〜ぐちゃぐちゃだ、中に人はいませんか?」
恐る恐る覗き込むも人影はない。
小さなネジや、計器パネルを見つけては、使えそうな物を拾い集め、さらに生存者の気配にも気を配りながら広範囲にわたって歩き回った。
「でかい翼だな、こんなパネルもって帰れたら使えるのに、ん、誰かいますか?」クラッシュして折れ曲がった大きな翼が木々の合間に突き刺さり、巨大なオブジェのような姿をしている。
ココロは、折れ曲がった翼の空洞になっている暗がりを覗き込んで声を上げた。「お〜い」
突然、奥の方で何か動く気配がした。
一瞬ココロは驚いたがもう一度声をかけた。
「大丈夫ですか?誰かいます?」
声をかけても全く反応が無い。
それどころか薄暗い中で生き物が動いているのがはっわかった。
「誰だ、動物?」
その生き物はあまり大きな生物ではないらしく数匹いたが瞬時に襲ってこないところをみると小さな獣だなと直感した。
「こら、そこから出ろ」
強気になったココロは落ちていた木の枝を中に向かって放り投げた。
その時、中にいた生き物が動いて一瞬明るい場所を通過した。
「なんだ、動物じゃない」
一瞬だが判断がつかなかった。
その生き物は明らかに犬や猫といった生き物ではなく、人間のような外形はしているものの、明るい所を通過したとき体が透けているように見えたのだ。
「あわわ、何者ですかいったい」
ココロは急に怖くなり、持っていた重たい部品を投げ出して分けもわからずその場を逃げ出した。
「人間じゃない、動物でもない、本当にいるんだ、変なのが、どうしよう」
手の震えが止まらない、どこに逃げていいのかもわからず、できるだけ遠くに逃げた。
辺り一面の木々がなぎ倒され、荒れ地と化した墜落現場は逃げるにも転びながら木を乗り越え、とにかくその場から離れたかったのだ。
しかし、百メートルもいくとまた大きな輪っか状の機体の残骸が転がっているのが見え、分けもわからず逃げ込もうとして足を踏みいれた。




