第7章 ココロ
その場所は高さ百メートルはある巌巌とした絶壁で、所々に細い木が生えていて、降りれそうな箇所も見受けられたが、その場所まで歩いていくのも大変そうだという事は一目見てわかるほどだった。
「ふ〜う、せっかくここまで来たのに」
ココロはへたれ込んだままゴロンと大の字になり、大空を見上げた。
「あ!そうだ」
いきなりひらめいたと思ったら、持ってきたドライバーやペンチやら、工具一式の入ったバッグを投げ出し、急いで飛行機のある場所まで戻っていった。
「これだよこれ」
それはパラシュートだった。
ココロが積んでいたモデルはいわゆる落下傘型のパラシュートではなく、パラセーリング型の横に広がる長方形型をしたタイプだった。
「これならなんとか行けるかな?」
今度は飛び降りれそうな岩のせり出した部分があるような場所を探し歩き回ったが、結局工具を投げ出した場所が一番見晴らしがよく、最適な場所だった。
「ここだ、ここから行こう」
ココロは小さい頃から父親の影響で飛行機になれ親しんでいたので、パラシュートの使い方もしっかりと教わっていたのだった。
父親からは、空ではいつ何が起こるかわからない、自分の身は自分で守れと教わっていたのだった。
「まさかここで役に立つとは思わなかったです」
ぽつりとつぶやいた。
「よ〜し、いっちゃいますよ」
重たい工具をしっかりと腰バックにしまい込み、パラシュートを開くひもを離さないように握りしめると、少し下がった位置から一気に走って岩を蹴りジャンプした。
「やった、うわ〜落ちる」ココロは歯を食いしばって自らジャンプした。
「ググググゥ〜」
パラシュートを開閉するグリップをしっかりと握りしめると、両手と両足をできるだけ大きく広げて滑空していった。
「今だ!」
力強くパラシュートのグリップを引くと、体に強い圧力がかかり、数メートル上空へ跳ね上がった。
バババババ!
風になびくパラシュートの音が心の高まりを感じさせた。
「よし、行けるぞ、風も吹いていないし、このまま空の旅ですね〜、どうですか?」
ココロは緊張の面持ちから喜悦の喜びへと変わり、期待で胸膨らむ少年の顔つきになっていった。
「行けーぃ!行けーぃ」パラシュートは谷底からの上昇気流もあってスムーズに体勢をたまったまま飛ぶ事ができた。
「このままだと、墜落場所まで五百メートルって所かな!もうすぐだ」
うっすらと朝霧のかかった森の中に、白い大きな突き出した破片が見えた。
近づけば近づくほど、破片とは言いがたい、巨大な折れ曲がった主翼の一部がみえる。
「でっかいな〜派手に折れてるけど、主翼だなあれは」その翼は間近で見るととんでもない大きさで、自分の組上げる飛行機の十倍はある翼の破片が所々に分散しているのだ。
「あそこにしよう」
ココロはパラシュートのブレークコードを操作しながら徐々に降下し、小さな破片が散らばる少し開けた場所に降り立った。




