第7章 ココロ
第7章 ココロ
ブロロロロ〜、ココロは東の空が明るくなりかけた頃を見計らって一人で飛び立っていった。
「う〜気持ちいいですー、今朝はすっきりしてますね!、さ〜て、雲が出る前に見つけないと」
ココロは昨晩神風から墜落機の話を聞いて、いてもたってもいられず、日の出とともに一人飛び立っていった。
朝靄がうっすらと立ちこめる森は、いつもより視界がよく、上空からかなりはっきりと森の様子がうかがえた。
「神さん、昨日の話では着陸した丘からそう遠くないって言ってたし、でも対岸は危険だしな、この谷のどこかだと思うんだけどな?」
ココロは昨日の記憶を辿り、崩れたビルの周辺を飛んだ後、着陸した丘のルートを目指した。
高度を下げて谷の断崖絶壁を右手に見ながら飛行しながらなるべく安全で低いコードを取り、所々濃い霧が立ちこめた場所も見えるように、低空飛行を続けた。
しばらく目を凝らしながら飛行していると、朝日に反射する大きな白い物体がキラッと光った。
「あ、あれだ!」
その場所は、約百メートルにわたって森がまるで大きなひずめで引っ掻かれたように木々がなぎ倒され、その場所だけ白い大きな物体や、まるで紙吹雪を散らしたかのような色とりどりの小さな物達が散乱しているのが見えた。
うっすらともやが立ちこみ始め、谷全体が雲に覆われるのも時間の問題だった。「あった、あった、あったよ、神さん」
誰もいない大空に向かって大きな声で一人叫んだ。
「でもどうやって降りようかな?」
一度高度を上げ、谷の上に連なる丘を見渡した。ぎりぎりまで木々が生えている場所と、所々禿げ山のように土の色が見える箇所が点在している。
何度か谷の上を行ったり来たり旋回すると、下草だらけで木がパラパラと生えている草原を見つけた。
「あそこならなんとか降りられるかな?」
すぐに低空で地面の様子を確認し、着陸できるかどうか確かめると
「あの大きな石は気をつけた方がいいかな、手前の二本の木をかすめれば、着陸の距離もなんとかとれるか、よし!着陸しますよ〜」
ココロは挑戦する事を腹に決め、小さな草原に着陸した。
ゴゴン!ガン!ゴゴン!
「痛たたた!」
草が生い茂っていてよく見えなかったが、想像していたより荒れた大地だった。
ガタン、ゴトン!
左のタイヤが石にはねとばされ一瞬右に機体が傾いた。
「おっとっと」
大事には至らず、木々の生い茂る手前で機体は止まった。
「ふう、危なかった」
飛行機から降りると戻る滑走の距離も考えて、着陸した場所を一度歩いて確かめた。
「大丈夫だな、これならなんとかなる、後は見つからないようにっと」
ココロはブラック・ナインの連中や治安部隊に見つからないように、長めの細い木の枝を切って機体の翼の上に乗せたり、立てかけたりしてカモフラージュをした。「これでよしっと、さてとどうやって後はこの下まで降りるかだ?」
谷の際までくると、飛んでいるときに見るよりも凄絶なスケールの谷間が眼下に広がりを見せていた。
うっすらともやの立ちこめた深淵の森からは、こだまする鳥のさえずりが耳まで届いてきた。
「無理だよこんなの、やっぱ無理ですよ」
一瞬にして力が全身から抜け落ち、ぺたりと岩の上にへたれ込んでしまった。




