第6章 ブラック•ナインと遭遇
凪は雲の下に出るか出ないかの境界線を飛び続け、着陸する小さな飛行場跡地を探して飛び続けた。「クッソ〜あのガキども、どこ行きやがった?」その頃セナともう一機は雲の遥か上空からかなり広い範囲を見渡すかたちで飛んでいた。ぎらぎら光る太陽がまぶしくてあまり上空を飛びたくはなかったが、彼らを見つけるには高度をあげた方が広範囲を見渡せ有利なのだった。
「みえね〜な、ったく、もうちょいで三機もろともぶっつぶしてやろーと思たのによおぅ!、チッ、帰るぞ」
「了解」セナは見つからない事に苛立ったが、これ以上広い雲の絨毯の上を探してもキリが無いことを悟り、あきらめたのだった。
ピーターも高度をキープすると、雲ギリギリラインを飛び続け飛行場跡地へと向かった。
「サブ、どうした?」
「だめだ、あいつらと無線がつながらない、距離が離れすぎてて届かないんだこのポンコツ」
ガン!サブは機体の無線スイッチに八つ当たりをして、グーでパンチした。
「痛って、くっそ固てーなこいつ」
「サブ、とりあえず奴らはまだどこにいるかわからな!探し出してつぶしてやるのもいいけど、それよりもピーターとカイチと凪を捜すんだ、あいつら丸腰だからな」
「わかった」
二機も一旦雲の下へ出た後、雲の下のラインぎりぎりをキープして飛んだ。
「おい、あそこ、煙だ、サブ、見えるか?三時の方向」神風が叫んだ。
「何だ、誰か落ちたのか?」それは深い森の中から一本の筋のように白い煙がスーッと立ち上がっていたのだった。
神風とサブローは二度ほど旋回するがあまり高度を下げると、奴らに見つかりかねないので雲の中に出たりはいたりしながら確認するしかなかった。
「落ちたな、機体だろあれ、近づかないとはっきりはわからないけど?」
「まさか、あいつらの誰かか?」急に二人は不安になり、神風が無線に向かって叫んだ。
「おい、ピーター、カイチ、凪、おい、聞こえたら返事しろ」
神風の無線もまた、距離がありすぎて連絡が取れなかった。
間もなく命からがらピーターと凪の乗る二機は小さな飛行場跡地に到着した。
「カイチ、大丈夫かな?チッキショー」二人はこぼれる涙をこらえながら、神風とサブローの帰りを待った。
しばらく黄昏れていると、ブロロロロ〜っというプロペラ機の音が遠くから聞こえてきた。
「来た!」膝を抱えて座っていたピータが突然立ち上がり、声を上げた。
「お〜い!お〜い!」
二人とも立ち上がり、思いっきり手を振って神風とサブローの二機の帰還を促した。
小さな飛行場が目に入ったとたん、神風が口を開いた。
「カイチ!、まさか?」
一機だけカイチの飛行機が無い事に気づいたのだ。
「落ちたのはカイチか?クッソ〜」
小さな空港跡地には、無数の飛行機の残骸が置いてあるが、その中にカイチの飛行機が一機だけ無いのは上空からでもすぐに見て取れた。
神風とサブローが見た小さな煙の柱はカイチの墜落機であった事を改めて認めざるを得なかった。
ブロロロロ〜ガタガタガタ
あちらこちらに小石が散らばっていて、着陸するにも場所を選ばなくてはいけないほど荒れた飛行場だった。
もうアスファルトを新しく引き直す事も無く、生命力の強い雑草たちは好き勝手に顔を出す。
しかしこのいかにも廃墟にしか見えない場所が、ブラック・ナインの連中が見つけにくい好都合な場所だった。
「神さん」プロペラがまだ止まらないうちに、ピーターと凪が駆け寄ってきた。




