第6章 ブラック•ナインと遭遇
「今度こそしとめるぜ」
機体を追って神風が雲の中へ入ろうとしたとき、はるか下の森の中が一瞬オレンジ色に光ったと思ったら、ものすごい光をかたまりが飛んできたのだ。
「エネルギー砲だ」
神風は思わず叫んだ。
森の一点が光った次の瞬間、光の閃光が空へ向かってすごいスピードで走って来た。
神風は瞬時にスロットルレバーを右に切りぎりぎりでかわした。
「くっそ〜、Dエリアに入っちまったか?下からも来やがるぜ」
続いて、二時の方向の森がオレンジ色に光ったと思ったら、正面を突き上げるようにものすごい光が神風の機体めがけて飛んできた。
「今度は、機首あげ、一メートルと離れていない距離をオレンジ色のかたまりが通り抜け、雲の中へ消えていった。
「あっぶね〜、下はやばいな、近すぎる、これじゃ〜よけきれね〜よ」
神風はD地区から急いで離れようと、再びぶ厚い雲の中へと入っていった。
雲の上へ一気に抜けると遠くの雲がオレンジ色にボワッと光ったと思ったら、明るい閃光が空へ抜けていくのが見えた。
はるか前方を飛んでいる、ブラック・ナインの機体もおそらく下からの砲撃をさけながら飛んでいたのだ。神風は、後を追おうとしたが、自分の身を案じてこの場は一旦回避しする事にした。
「今度あったら、必ずぶっつぶしてやるからな」
拳を固く握りしめると、今にも殴り掛かるポーズをしてみせた。
「サブ、大丈夫か?サブ、応答しろ」
「ああ、大丈夫だ、他の奴らはどっかいっていない」
「わかった、それよりこっちは地上からのエネルギー砲かわすので手一杯で、残念ながら奴らを取り逃がしたぜ」
「俺もだ、うかうかしてると食らっちまう、このエリアは出た方がいい、丘はもっと西だ!戻るぞサブ」
「わかった」二機は再び合流して西に進路を取りその場を離れた。
「神風のヤツ、俺様の縄張りを飛ぼうなんて、百年はえ〜んだよ」
ブラック・ナインのボス、セナがつぶやいた。セナは同じデスホールの住人だが、一区に住み、生まれた時から死の香りが漂う環境で暮らし、常に住人同士野争いごとが絶えない日々を送っていた。
十一区にすむ新参者の神風やサブローは、セナたちにとって気に入らない存在。つぶすチャンスをいつも狙っているのだ。
セナは、三機いた戦闘機の一番後方を飛んでいて、神風たちがバラバラに割れたのを見計らい、もう一機を引き連れ分かれた三機を追っていた。
「バカめ、逃げやがって、俺様から逃げれると思ってんのか?」
凪、ピーター、カイチは距離を置きながら、視界の開けている雲の上を飛んでいた。
「ピーター、カイチ、後ろ、七時方向」
凪が大きな声を上げた。
その声が届くか届かないか同時に進行方向に向かって鋭い弾が雲を引き裂いて飛んでくるのが見えた。
バババババババ!
バシューン、バシューン!
と、後方からはじけ飛ぶ音が響いた。
「やばい、尾翼を飛ばされた」
カイチの垂直尾翼の一部と尾翼の左右の大半が、銃弾でぼろぼろに破壊されたのだ。
凪からもその尾翼が粉々に吹き飛んだ様子が見えた。
「逃げろ」
とっさに雲の中へ入るが銃撃はやまず、雲を裂いて飛ぶ音はやまなかった。
「しつこいな、くっそ〜」
「カイチ、大丈夫か?」ピーターが叫ぶ。
「俺は大丈夫だけど、尾翼をやられてまっすぐ飛ばないんだ」
「そのまま行けるところまで行くんだ」
凪もピーターも雲の中を必死に逃げ、雲の下に出ては周りを見渡し、また雲の中へ入っていた。
パチューン、パチューン今度は、どこから飛んできたかわからない弾が、ボディーに当たる音が聞こえた。




