第5章 飲茶屋の話 完
「ありがとうございました」
神風はむっとしながらも三人にお礼を言うと軽く頭を下げた。
四人は皆同じ事を考えていた。
席を立ち上がると人ごみの中を進み、飲茶街を抜け小走りで金魚屋へ戻ろうとした。
「今のまじか?」
「まさか、あいつ一人で?」
「まさか一人ではいかね〜だろ」
あまり気にかけていない様子のサブローが軽くカイチの言葉をかわした。
しかし、そのサブローも苦笑いを浮かべながらも、半分一人で行ってしまったような気がしていた。
「でも、どこ行くんだ?」
ピーターが不思議そうに訪ねたと思ったら、突然ピンと来たらしく、いきなり大声で話しだした。
「まさか、昨日話していた墜落機の・・・」
「しっ!声でけーよ」「ごめん、あの谷間に墜落機探しにいったって事か?」
「もしさっきの話が本当でそれがココロの機体だったら間違いなく行ったって事だろう、あいつ、昨日俺が話していた時、妙にそれでそれでって興味深げに聞いてたからな」
「あいつ我慢できなくなっちまったのかな」
「ココロ恐がりのくせに良く行くぜ」カイチが吐き捨てるように言った。
十メートル先の角を右に曲がれば金魚屋のある商店街へ出る、みんなは急ぎ足で向かった。
「よお、凪、終わったか」
「まーね」
「ちょっと、中で話してもいいか?」
「いいよ、これだけ片付けたらいく」
凪はちょうど軒先の道ばたを掃除しているとこだったが、掃除を手早くすまし終えると、しばらくして話に加わった。
「どうしたの?あれココロ顔出さなかったの?」
なにげに軽く凪が話しかけた。
「いいや、ここにいるみんなだけだけど?」カイチが答えた。
「それがさぁ、隣で朝から飲んでるオヤジが朝日が上がる頃ちっちゃな飛行機が山の方へ飛んでったって話してたんだ、まさかと思ってさ」
神風が不安そうな顔を浮かべて話しだした。
「まさかって」
「え、まさかその飛行機って、ココロ一人で行くかな?恐がりのくせに、暗いうちから飛ぶとは思えないけどな」
凪が箒を内壁の柱に掛けながら話しだした。
「でも昨日やけにここで神さんが話した事にそわそわしてたみてぇ〜だし」
サブローが付け加えるように言った。
五人はどうするべきか考えた。
本当にココロなのか、突然いつものように現れて、「ごめんなさい、遅くなりました」って言い訳しながら現れるのを待つべきなのか、それぞれが顔を見合わせるでもなく、遠い目をして考えている様子だった。
「とりあえず、行こうぜ、飛行場へ行けばわかる」神風がみんなに声をかけた。「ああ、そうするしかないな」
「僕も行くよ」
「お前店あんだろ」
「今日はとりあえず仕入れってことで」
「しょーがねーなー、ったく」
サブローが大あくびをしながらぼけた声で言った。
急いで凪は店を閉めると五人は例の抜け道を通り、教会を出て荒れ果てた墓地を小走りで駆け抜けると急いで飛行場跡地へ向かった。




