第22章 D-m3
ぎりぎりでツンどまりの森の渕まで来ると、そこでなんとかとどまる事が出来た。
「サブ、もっと手前だ」
「ああ、わかってるけど前が見えねえ」
サブローが着陸する地点がやや中央になり、そのまま勢いあまって森の中へ突っ込んでしまった。
「サブ、サブ大丈夫か」
バキバキっと木の枝が折れる音がして、機体が斜めに刺さるように止まった。
「へ、生きてるぜ」最後に凪の操縦する機体も無事に降りる事が出来た。
既に当たりはまともに歩けない程風が吹き荒れ、そこら中の物が宙を舞っていた。
「どうすんのよ、もう」
「翼ちゃん、姿勢を低くして端っこまで行こう」
また空の一点ががピカッと明るく光ると、巨大な稲妻は大空を駆け巡り、近くの森に落雷し、大地が裂けるような爆音を轟かせた。
「キャッ」
「急げ、早く」
「くっそー、早くったって前に進まねーよ」
六人は空港の跡地を抜けると、風が吹き荒れる中を古い墓地へと向かった。
草むらが狂ったように踊っているのが見えた。
「あそこの教会だ」
六人は必死に歩いた。
上空には折れた大木の枝が軽々と宙を舞い遠くへと消えて行った。
翼にピータが指を指しながら教会の入り口を伝えると、突然扉がガタガタとふるえだし、バーンと開いたかと思ったら、左右ともその衝撃で外れ、神風達の方向へ飛んできた。
「危ない」
間一髪で二枚の扉は頭上をすり抜け上空へと舞い上がり、頭上彼方へ消えて行った。
ブラックスノーヴィは徐々にエネルギーを吸収し始めていた。
エネルギーを吸収し、マイナスに動く力と、巨大なプラスエネルギーがまともにぶつかり始め、小さな軋轢が戦争を引き起こすかのように、エネルギーのぶつかり合いはエンジンマウンテンを巨大な竜巻で覆い始めた。
大木が根こそぎ空を舞い、神風達の飛行機も着陸場所にとどまる事なく、操縦士のいなくなった飛行機はふわりと風にあおられ、エンジンをかける事もなく大空へと舞い上がった。
風の気の向くままに、一機、また一機と上昇する。
ディザシティーの巨大なドームにも、どこからか飛んできた大木が天井に突き刺さると、その破損をきっかけに、天井が徐々に吹き飛び、大きな被害をもたらし始めた。
風は納まる何処か、本腰をいれて強さを増し、大地に根付くものは根こそぎむしり取るとられるのも時間の問題だった。
「エゾ様、先ほど第十八格納庫にエネルギーの異常が見られ、原因究明に当たったのですが、既に現場に近づける状態ではなく、現在三分の一が破壊されたとの報告が入りました。
数時間前に、十八施設に外部の人間が入り込んだとの報告があり、残念ながら捕らえ損ねたとの事でしたが、それとの関係は分かっておりませんが、おそらく何処かに破損したエネルギー体から異常が発生したのかと思われます、何せ近づけないもので・・・」
「この状態はそんな容易い事ではないだろ、おそらくメラニズムが混じり込んだ可能性が高いのではないか」
「エゾ様、メラニズム?まさか、ブラックスノーヴィが」
「では、もはや地上は・・・」
エゾは言葉を詰まらせた高木の肩を軽くたたくと、「形ある物はいつかは消える、これも運命だろう」
「は、ごもっともでございます、ではD-m3の開発はどうなってしまわれるのでしょうか?」
「時を待て」
そういうと、エゾは室内の中央にある特別なエレベーターへ数人と一緒に乗り込んだ。
風はとどまる事を知らなかった。




