第22章 D-m3
徐々にエネルギーの中心部にマイナスエネルギーが影響を及ぼし、そのぶつかり合うエネルギーは山の周りの空気の流れも変えて行った。
暗闇の中で揺れ動く気流は少しずつ強力になり、山の頂の隙間から小さな渦が巻き上がり始めた。
始めは本当に小さな小さな、風呂の水が排水溝に流れ込む最後の瞬間のような、小さな渦巻きから始まった。
それは徐々に細長くなったかと思おうと、別の小さな渦巻きがくっついて一つになり、三つが一つになり、周りの渦を巻き込んで渦は竜巻へと大きく育って行った。
竜巻は大きくなるに連れ、周りの廃材やゴミを巻き込みあちらこちらで金属の音やら、木が折れる音が、嵐の予兆を感じさせた。
「神さん、流されてるよ、気球が右方向に強くなってる」
「ああ、わかってる、なるべく高度を下げるんだ、上はやばいから、なるべく低く行こう」
四機は地上からわずかのところを飛びながら小さな飛行場跡地へと向かった。
高度を上げれば遠くに見える着陸地点を目視できるが、逆に下げればそれだけ見渡す距離が狭まり、目標地点を見つけにくかった。
「どうだ、大丈夫か?もっと北だ、かすかに光が見えるか?」
四機はデスホールから昇る光の柱を必死に探した。
その時バリバリっと息が詰まる程の、ものすごい稲妻が走ると各地で落雷が起り始めた。
「気をつけろ、直撃したら一環の終わりだ、もっと北へ進路を取って雷雲からはなれるんだ」
機体は強い風によって東に流されながらも持ちこたえていた。
「キャッ」ものすごい稲妻が四機の方向へと向かって天から降りてきた。
一瞬の出来事だったが、さけた稲妻がピーターと翼の乗る右翼の先端に落ちたのだ。
バーン、と一瞬あたりがブラックアウトし火花が散ったが、丸こげになる程の威力はなく全身が多少しびれた程度で納まった。
「うわあ、ビビっときたよ、ビビっと、大丈夫、翼ちゃんは」
「ええ、私もビリッと来たけどなんとかね、それよりこの音の方が怖いわ、あ、飛行機についてないわ、もういや」
「見えたぞ、十時の方向だ」神風が叫ぶと、真っ黒の雲の中にかすかに光る柱が見えた。
デスホールから夜空に立ち上る光の柱だった。
「いいぞ、行ける」
風は勢いを増し、まるで台風の中を飛んでいるようだった。
「うわ、」
バキバキ、ドン!
突然目の前に大きな枝が飛んできてプロペラにぶつかると、鈍い音を立てて機体にぶつかりながら飛び散った。
散乱した葉っぱがキャノピーのウインドウにペタペタと張り付いたが、これも一瞬にして雨に洗い流され消えて行った。
「あそこだ、みんな降りれるか?」
「ああ、なんとか」
一度旋回すると、真っ黒な地面に激しくぶつかる雨が鈍い白さを映し出した。
「行ける、これならなんとか行けそうだ」
神風は先頭を切って着陸した。
ドドドドーン
ものすごい衝撃が走ったがなんとか着陸すると、「気をつけろ、ちょっとでも無理に入ると地面にぶつかる、なるべくお互い距離を置いた方がいい」
続いてピーターが降りてきた。




