第22章 D-m3
「どうやら、ここまでは追ってこないな」
「ふー、助かったぜ、どうなる事かと思ったよ」
「おい、神さん、足、血がにじんでるけど」
「ああ、大丈夫、かすり傷だ」
「とにかく山から離れるんだ、何が起こるかわからない」神風はいつになく慌てていた。
それは何が起こるかまではわからなかったが、山の近くにいては危険な事を直感していた。
廃墟に付くと健三郎のところへ駆け込み、顔を見るなり「一緒にいきましょう、きっとこれから大変な事が起こる」と神風は真剣なまなざして訴えた。
「どうした、突然、一体何が起こったっていうんだ」
「今細かい事は話す時間がない、でも俺たちブラックスノーヴィをエンジンマウンテンのエネルギーの中に閉じこめて来たんだ。
「何だと、それは本当か」
正確にはまだ生まれていない、寄生して数時間しか経っていない人間を入れて来たんだ。
神風の目からは涙がこぼれ落ちていた。
「なんて事を」
「だから、早くここを出ないときっととんでもない事が起こる」
「わかった、わかったから落ち着いて」
「でも時間が」
「まだ、一日経っていなければひどくはならないだろう、それに我々は逃げも隠れもしない自然のままを受け入れ、それが今日終わりであってもそれはそれでいい、それが運命なら甘んじて受け入れるよう、それが人生だ」
「でもまだ子供もいるでしょう」
「ああ、少ない人数なら何とか避難する場所はある、まー全員は入れないがな、こんな街にもかつての非常事態に備えた場所がある、それよりも君たちは早く戻った方がいい、おそらく徐々に天候が急変するだろう」
プラスとマイナスがぶつかればどうなるかは想像がつく、それが最大のエネルギーともなればどんな事になるか、さあ行きなさい、また運が良ければ合えるだろう」健三郎はそう言うとみんなの前から遠ざかり姿を消した。
「いくぜ」
六人は畑まで駆け出すと、それそれの飛行機に飛び乗り、エンジンをかけた。エンジンマウンテンでは徐々にエネルギーのぶつかり合いが生じ始め、頂きの上空では激しい雷雲が立ちこめていた。
辺りは夜が訪れたかのように暗くなり始め、上空ではかない強い風が流れているのが目視できる程だった。
「急げ、雲の流れが速くなってきている、嵐に巻き込まれたら戻れなくなっちまう」
神風は轟音と共にエンジンを回すとゆっくり畑の中を走り、大空へと飛び立った。
続いて三機も後追って大空へと飛び立った。風が強くなっていた。




