第3章 金魚屋での話 完
けどさ、人の気配がしないんだ、バラバラになったシートとか、荷物とかそこいら中に散乱していたんだけど、荷物が散乱してるって事は、人が乗ってるってことだろ?でもな、バラバラになった死体さえ見当たらなかったんだ、もちろん全部を見渡したわけじゃないんだけどさ」
「神さん、気味悪い事言わないでくださいよ!」
「それって、おかしいと思わね〜か。まさか何かに食われちまったとか?」
カイチがココロの顔を覗き込むようにして話を割ってしゃべった。
「また、やめてくださいよ、カイチさんまで」
ココロもすぐに反応した。
「でもな、多分だけけど、機体が完全にバラバラって訳でもないからさ、生きてるやつもいそうな雰囲気があったんだけどな〜」
神風はまじめな面持ち続けて話だした。
「本当に食われちまったのかな?」
神風は自分で見たものがどんな状況だったのか、もう一度思い返しながら話を繰り返した。
「でもなんであんな所に落ちたんだ?確か機体は翼と胴体の一部がバラバラになっていたけど、残骸は半分ぐらいしか無いように見えたんだよな?」
「それってきっと例の赤い砲弾ですよ」
「食らったのかな?ドカ〜ンて」
急に、ピーターがでかい声で、みんなを脅かした。
「びっくりさせないでくださいよ、ピーターさん」
「お前すぐに驚くな」
「悪かったですね、気が小さいんです、でも、オイラちょっと見たいかもです」ココロは神風の話す話にとても興味を抱いていた。
「またあれか、ココロ、部品いただこうってか?」
「また、人聞きの割る事言わないでください、凪さんの飛行機だって、集めるの大変だったんですから、ま、オイラのおかげで皆さん飛行機乗れるんですから・・・」
「はいはい、わかったよ、ココロちゃん、でもそこへ行くとしたらどうやって行くんだ?」
「谷底まで、ここからまともに歩いたら3日はかかるぜ、それにカイチの冗談じゃねーけど本当に何がいるかわかんね〜し、治安部隊だって、そんなデカイ飛行機なら今頃血眼だぜ」
「そうだな、今は上空からしか見る方法はないしな」
「しかし気になる、そんな話聞いたら俺だって行きたくなるだろ」サブローも興味を示していた。
「最近、わくわくする事ないかんな」
語人は神風の墜落機話を聞いてそれぞれの思惑でスリルと興奮を味わっていた。
一番年下のココロは気は小さいが、機械の事となると何よりも真っ先に飛びつき、みんなの機体も彼がパーツを集め、一〜二年かけて、コツコツ組上げた物だった。見た目こそポンコツだけれどもアナログパーツを変更し、デジタルパーツを要所要所に組み込み、オリジナルの機体は誰にも負けないココロ自慢の飛行機を作るのが大得意だったのだ。
「まあ、今日は無理だけど、明日もう一度飛んでみようぜ、多分治安部隊がうろちょろいると思うけどな」
「そうだな、そんなの見るだけでも興奮するぜ」
「ああ!」
神風は何となくまた明日確認できればいい、といったくらいの気持ちでいた。
「そろそろ人通りも減ってきたみたいだし、閉めますか?」
凪は立ち上がり、みんなのコーヒーカップを、手に持ったお盆に乗せ始めた。「そんじゃー、今日は解散という事で」
「凪ごちそうさま、また明日、茶屋で」
「オッケーイ」「凪、裏口開けといてくれよ、頼んだぜ」
「わかってますよ、神さん」凪を残して、五人は寒空の中十一区へそれぞれ戻っていた。




