第22章 D-m3
スノーヴィは身動きせずにじっとガラス管の中に入ったまま、赤い目の瞬きだけがちかちかと光、大空間の中でまるで闇夜に点滅するクリスマスツリーのイルミネーションのように小さな点の光が光ったり消えたりを繰り返していた。
その光景は目を見張る物があった。
「すっげー」
サブローも口を開いたまま顎が外れたかのようにその空間に見とれた。
よく見ると、細い通路に人影が懐中電灯を照らしながら歩いているのが見えた。
「ヤバい、隠れろ」
一本の太い柱状にフラクターを横付けし、素早くエンジンを切ると、二人はそっと身を潜め辺りを伺った。
「どうする神さん」
「ああ、今考えてんだよ」
「このスノーヴィのガラス管、外せないかな、ココロと入れ替えるんだ」
「なるほどでもどうやってこの壁から外すんだ」
「何か必ず方法があるはずだ」
二人は監視に見つからないように、ぶら下がるスノーヴィの入った管に手をやった。
「だめだ、動きゃゃーしない」
「多分これだけ多くの物がくっついているんだ、何か動かす方法があるだろう」
二人は辺りを見渡すと、かすかに光る小さな明かりの上に鉄くずの壁より少しだけ長く飛び出ている一本の曲がった金蔵棒を見つけた。
「これだ、下げるぞ」
神風はその金属の棒に力を入れて曲げるように下へと体重をかけ、バーを下げると、ぶら下がっていたガラス管がゆっくりとスライドし、大きな窓枠の中へ移動し始めた。
「やったぜ」二人は内側に入り込んだガラス管をゆっくりと二人で床まで移動すると、カプセル状の蓋の金具を外し、上部の蓋を上に持ち上げた。
プシューっと言う音とともにガラス管がセンターから二つに左右に開くと、赤い目をしたスノーヴィが何事もなかったかのようにゆっくりと外へ出て、音もなく二人が来た方角へと消えて行った。
「よし、これ横に出来るか」サブローがゆっくりと回転させ、横にすると「ココロをここへ寝かそう」と神風が横にした状態で床まで下げた。
「わかった」
サブローはそっとココロを抱きかかえると、横になったガラスの管のなかへ寝かせた。
「ココロ、ごめんな、こんな事になっちゃって、頼んだぜココロ、またいつかあの世で会おうぜ」
二人はそっと冷たいココロの体をガラス管の中に固定し、開いたカラスノ扉を合わせると、上部の蓋をかぶせガラス管の金具を元通りに閉じた。
「ココロ、じゃーな」
二人はそれ以上何も言わずしばらくココロの姿を見つめると、ガラス管を横の位置のままレバーを戻し、ガラス管をもとの位置まで移動し終えると、もう一度広大な景観を眺めた。
「ここがエネルギーの源って訳か」
「あいつらここへスノーヴィを運んでいたんだな」
「くっそ、こんなものの為にココロを奪いやがって、この中にD-m3が組み込まれれば、エゾがより強大な支配力を強める事になる、だから俺たちが必ず制裁してやる、未来の為にな、その為に道を選んだココロにも一花咲かせてやろうぜ、サブ、もう時間がない、いくぜ」
二人はエアフラクターにまたがると巻上るホコリをものともせずにアクセルを全開にした。
ブォーという二つのファンがこれ以上回転できない程の音を上げながらもと来た道を突き進んだ。
「侵入者だ」勢い良く通り過ぎるエアフラクターに気づいた警備員が警報を鳴らした。




