第22章 D-m3
「いいか、時間がない、急ぐんだ、どっちにしろ俺たちはここからまた地下に入ってココロのいる場所までいく、昨日の健三郎の話なら三時間もすぎればココロを連れ出せる、あいつの死は無駄にはしない、みんな頼んだぜ」そういうと、神風とサブローは急いで階段を駆け降りて行った。
「さみーな、ちっきしょう」吐く息は刺々しく、冷たい空気が肌を刺すようだった。
「ココロ、今いくぜ」既に寄生を終えたブラックスノーヴィは巣を離れ、新たに誕生する分身の為に巣を明け渡していた。
「ココロ、ココロ、なんでこんな事に」
神風とサブローはステージの上へ降りて行くとココロに近づきそっと触れた。
ココロは眠るように穏やかな顔をしていたが、既に冷蔵されたように冷たくなっていた。
「ココロ、ゆっくりと休んでくれ」
そう言うと涙を拭い、目つきが変わると「サブ、連れ出すぜ、ココロをフラクターに乗せて山へ急ぐぞ、時間がない」
「よっしゃー、わかった」二人はココロを持ち上げエアフラクターにそっと乗せると、ゆっくりとその場を後にした。
「ココロ、頼んだぜ、お前が最後に一花咲かせてくれよ」
神風はブォーっと一気に加速すると、エンジンマウンテンの内部へ通づる道を探した。
「サブ、絶対にどこかにあるはずだ、探してくれ」
「わかった」
加速しながら周回する山側に面した回廊を走るが何処にも通路のような道は見当たらなかった。
「ないな、ここじゃないのか?」
回廊をもう一階上へ上がり、もう一度走ろうとした時風がささやいた。
「空気の流れを感じるのよ」
「サブ、なんか言ったか」
「いや、何も」
「ネネ、ネネなんだね」
神風は辺りを見回すが先程と変わらぬ景色が見えるだけだった。
「空気の流れって、そうか!ここは冷気で充満している、山の中へ通じるならば気圧で空気の流れがあるはずだ」
「サブ、上じゃない、下だ」
二人はさらに地下の冷気の停滞した回廊へと向かった。
「あったぞ、いくつか穴がある」よく見るとその穴はすべてが骨で埋まっていた。
「ここは納骨堂?」
「ああ、そうみたいだな、動物の骨や人の骨で埋め尽くされてる」
「薄気味悪ーな」
そう言いながらも埋め尽くされた大きな穴を右手に見ながら一つ一つチェックして行くと、九番目の少し小振りな穴に吹き抜ける風を感じた。
どうやら骨の隙間から外へ冷気が流れ出ているようだった。
「サブ、ここだ、ここに違いない、見ろ」
神風は袖に付いたホコリをはらうと、そのホコリが骨の隙間へ流れ込むように吸い込まれた。
「風が通るってことは道があるかもしれないな」
「でも、どうやってこの奥へいくんだ?」
サブローが言うと「任せとけ、特攻隊はこうやって行くんだ」
「おい、神さん、止めろって」
サブローはココロを落とさないようにしっかりと抱きかかえると、神風は一度距離を置き、ターンして一気に骨で埋め尽くされている壁面へ向かって突っ込んで行った。
「お、おい、ヤバいって」サブローが頭をかかると、同時に神風も伏せるように身を屈め、骨が積まれた壁に突っ込んでいった。
バリバリバリっと骨がくだける音と総崩れした骨が一気に床に散らばると目の前に深いトンネルが現れた。




