第22章 D-m3
「ココロー、止めてくれ、お願いだ、ココロー」
神風は力の限りセナの友がなくなった巣へ近づいたが、既にエアフラクターのファンは凍り付き鈍い音をあげていた。
「ココロ、おい、聴こえるかいまいくから待ってろよ」
「神さん、最後のお願いです、オイラを使ってください、寒いですありがとう」
「お〜い、ココロ、ココロ、行っちゃダメだ」
神風は無我夢中で走ったが無情にもエンジンは止まり、そこからは走って巣の中心部にたどり着くと、そこには真っ白になった抜け殻のケイの遺体がまるで氷の彫刻のように横たわっていた。
その巣の中央に一台のエアフラクターが止まっていた。
「ココロ、ココロ戻れココロ」神風は叫んだ、しかしココロの姿は見当たらなかった。
「ココロ何処だ、円形の通路を三分の一程まで走って行ったとき、ちょうどエアフラクターの影で見えなかった位置にココロが横たわり、ブラックスノーヴィが体に寄生をしている所だった。
「てめーココロに何しやがる」神風は銃を抜き、ブラックスノーヴィに向けて引き金を引こうとしたが、銃も凍りつきトリガーがさえ引けない状態だった。
「クッソー」
スノーヴィに向かって銃を思いっきり投げつけるが届かない、神風も精神力でもっている程度で立っているのがやっとだった。
「神さん、神さん大丈夫か」
そこへサブローと凪が走ってきた。
「ココロが、ココロがあそこに」
「クッソー、ちきしょうもうどうにもならねえ、俺たちも戻らねーとみんな死んじまうよ」
「神さん急げ」
「意識のもうろうとする神風と共に、一旦三人はその場を離れ、ようやく地上へと上がった。
「ココロ、なんでおまえがそんな事までしなくたって、たかがエネルギーじゃねーか」
叫ぶ神風を囲うように他の五人もみな同じ気持ちだった。
「神風君、ココロの意志を尊重してあげるのよ」
そのとき風がささやいた。
「誰だ」
神風はハッと我に帰ると五人の見渡した。
「今、ネネがなにか・・・尊重してあげてって」
「ネネ、俺どうしたらいんだ、なんでココロはあんな事を」
「運命を受け入れて、これはココロの思いなのよ、死を無駄にしてはいけないわ」
また風がささやいた。
「ココロ」神風は我を忘れて泣きじゃくった、いつの間にか仲間の五人も涙を流していた。
「ココロ」
そう言うと、神風は意識を失った。
遠く永々の暗い闇に吸い込まれるように、記憶が静かに消え、深い暗黒の地へと落ちていった。
神風の意識が戻ったのは数時間後だった。
「サブ、俺はどうしたんだ」
「お、目が覚めたか神さん」
「そっか、気が遠くなって、それで・・・サブ、あれから何時間たった?」
「あ、多分三時間ぐらいかな」
「なに、今からココロを連れ出しに行くぞ」
「何だって、そんな体じゃ無茶だよ、今度は本当に死んじまうってば」
「馬鹿野郎、ココロの死を無駄になんか出来るわけねーだろ、あいつが生まれる前にエンジンマウンテンに送り込んでやるのさ、これがココロへの恩返しなんだよ」
神風は心に決めた、必ずココロに誓ってあのエネルギーを再生させないと。
「俺が必ず停めてやるからな、ココロ、サブ、ココロが乗っていたフラクターは動くぜ、あいつ寒冷地仕様にしてやがったんだ、さすがだぜココロ」
「おー、わかった、みんなは戻ってくれここからはサブといく、何が起こるかわからないから健三郎にも知らせるんだ、でっけー事やろうぜ」
「わかった、俺たちは戻る準備をする、フラクターは何台残ってる?」
ピーターとカイチのかな、僕のはファンは凍っちゃったよ」
凪が残念そうに言うと、「よし二台あれば四人で戻れるだろう」神風は明るく語りかけた。




