第22章 D-m3
ココロは人が変わったように無言のまま一心不乱にシャフトを直し、朝までに五台を完成させていた。
残る一台は自分が乗って行くはずの物だけが未だ未完成のままだった。
日が昇ると同時にジークが外に出て来た。
「いい朝だぜ、今日は俺たちの祝福の日だ」
ジークがそう言うと一斉に天に向かって銃を乱射した。
「そろったようだなココロ」
「はい、後一台がまだなんですけれど」
「いいだろう、それを直しららお前が乗ってこい、最高の楽園が待ってるぜ」
そう言うと、みんながまた歓喜をあげて銃を撃ちまくった。
「いよいよだ、夜が開ける、全員は位置に着け」特殊部隊の十名が交戦にならないように、入念な計画を練り一斉に配置に付いた。
日がのぼり辺りが明るくなると、森に立ちこめていた靄もすうっと波が引くようにいつの間にか消えてなくなった。
何処からともなくブォーッという風を切る音が森の空気を振動させ、二十三施設のゲートに立つ大佐のもとへ伝わって来た。
「いよいよだな」
その音を聞くと、大佐は全身の筋肉に力を入れた。
その目には一点の曇りもない程に感情を捨て、事を成し遂げる強い精神が宿っていた。
ブォーっとけたたましい音が森から響き渡ると、数十台のエアフラクターがゲートへやって来た。
先頭からジークが降りると「おお、大佐がお出迎えとはな、ありがたい事だ」とジークは薄気味悪い笑顔を見せた。
「よく来てくれた、今回の活躍はエゾ様も喜んでおられた」
「ハッハッハ、そうだろうよ、あれだけ苦労して持ち帰ったんだ、ありがたく思えよ、さあ大佐このゲートを開けてもらおうか、今日からここが俺たちの街だ」
ジークがそう言うと、みんなが一斉に奇声を上げた。
「よかろう、しかしエゾ様は残念だがここはお前達が持ち帰ったエネルギーの開発の場にするとおっしゃられた」
「ハッハッハ、冗談を言うなさっさと開けろ大佐」
「悪いがお前の活躍もここまでだ」
そう言うと、大佐はためらいもなく一発の弾丸をジークの胸へ撃ち込んだ。
静まり返った朝の森に、一発の銃声がこだました。
「き、きさま裏切ったな、てめー・・・」
ジークはそう言うと、左胸から流れ出る血を押さえながらばたりと倒れ込んだ。
一瞬手下はその光景が信じられない様子で、誰一人として一言も発する事なく、お互いが顔を見合わす事で精一杯だった。
ジークが倒れたその間にうろたえる数十人の手下に向かって隠れていた特殊部隊が飛び出し一斉に射撃を開始した。
それはあっという間の出来事で、また銃声の名残音だけが森の奥へとこだますると、もとの静けさへと戻っていった。
「終わったな」
大佐はクリスチャンのように十字を切るとすべてを片付けるように指示を下すと、静かに一人でその場を立ち去った。
「ミスクレア、エゾ様につないでほしい」
「はい、エゾ様はただ今開発会議に出ております、いつ戻るかも分かりかねますが」
エゾの秘書ミスクレアはそう言うと、冷ややかな言葉を大佐へ浴びせた。
「そうか、では伝言を願いたい、任務は完了したと」
そう言うと静かに全話を置いた。
「すべてが終わった」大佐はそう言うと、深く目を閉じその場から立ち去った。




