第21章 不思議な出会い
「ジーク、戻って来たのか」
神風はバックモニターに映し出される姿を見て凍り付いた。
あちこちで怒号とも、罵声とも言える声が響き、ジークの満足げな顔が一段と大きく映し出されると、ぶつぶつと不満の声の中に、パラパラと拍手の音が響いていた。
「ジークだと、隣に居るのはまさか」
その名前を聞いた瞬間にココロが居るのかと、人をかき分けようやくステージの見える場所まで来ると、ジークに隠れるようにココロがうつむいて立っていた。
「まさか、ココロ、嘘だろう、嘘だよな、俺たちを裏切るなんて、嘘だよな」
何度も何度も神風は自問自答すると、信じれない気持ちでいっぱいになった。
「ココロ、なぜなんだ、おい、聴こえてんだろう」
神風は大衆のどよめきに開けないような大声を張り上げたが、ジークの影に隠れたココロには声が届かなかった。
大衆の躍動するなか一斉にどよめきが上がった。
D-m3を持ち帰ったのはジークという、コールが告げられたからだ。
「何だと」
神風はどよめく大衆をさらにかき分け、最前列へ歩み出ると、そこで見た物はジークが高々とあの赤い玉を持ち上げ勝利の雄叫びをあげた瞬間だった。
「やったぜ、俺様の勝利だ、そうだろココロ」
ジークは右手に高々と持ち上げた赤い玉をおろす事なく、ちらりと後ろを振り向き、ココロに怪しげな笑みを浮かべた。
「おめでとうよく持ち帰ってくれた、約束通り二十三番目のディザシティーの権利を与えよう」
施設省のトップがジークと固い握手を交わし、数ヶ月後に完成する二十三番目のディザシティーへの約束を交わす調印書を渡した。
「ココロ、ココロは何処だ」
既にココロは下がり姿は見えなくなっていた。
「クッソーなんで、なんであんな奴の為に、D-m3を」
神風は大衆のどよめきをかき分けると金魚屋へと戻って行った。
神さん、とりあえず無事戻れて良かった、でもまさかあいつが持ち帰ったなんて事情を知った凪が神風に慰めの言葉をかけた。
「ああ」神風はそう言うと奥の部屋へ黙って入ると椅子を引いてどっかりと座った。
「凪、悪かったな、コーヒー入れてくれる?」
「ああ、わかった」
「ココロの奴、本当にジークの仲間になっちまったのかよ」
コーヒーを一口飲むと先に凪が口走った。




