第21章 不思議な出会い
負傷した二人を乗せ、森を何処までも何処までも走り、D地区の入り口に配備されていた人感センサーも、D地区から外へ出る者へ対しては何も興味を示さず、無事に谷の底まで降りて行った。
「もうすぐだサブ、しかりしろ」
「あー、なんかたまにフッと気を失いそうだよ」
「寝ちゃだめだ、しっかりと目を開けて、もうす少しで着くからがんばれ」
ピーターの操縦する後ろにはセナがぐったりと座り込み、その後ろにし噛み付くように翼が座り支えていた。
「翼ちゃん、大丈夫」
「まー何とかね、でもこの人もう意識がもうろうとしているよ、急いで」
磁石をたよりに日が暮れるまでに何とか健三郎のいる所へたどり着いた。
「健三郎さん、居る?お願い、助けて」真っ先に翼は階段を駆け上がると、奥の部屋へと足を運んだ。
「健三郎さん、大変なのお願い、早く、サブローさんが撃たれて意識がもうろうとしているの、それともう一人、セナって言う人も意識がなくなりそうなの」
「なんだって、それは大変だ、今すぐに人を向かわせるから上へ運び入れるんだ」
サブローとセナはほとんど意識を失いかけていた。
特にセナの様態はサブローほどは深刻ではなかったが、ここへたどり着く間に髪の毛が真っ白の白髪にかわり、人の抜け殻のようになりかけていた。
「どういう事なんだ、これはいったい」サブローの手当をしている横で健三郎がセナを見つめていた。
「セナは俺たちとこの赤い玉の奪い合いをして、ブラックスノーヴィが寄生した友人に触れたんだ、既にセナの相棒は凍っちまったいて助からなかったけど、触っただけであんなになっちゃって」
「近づいたのか、あいつに」
「近づいたのは、凍っちまったそいつ一人だけ、俺たちは近づく事さえ出来なかった。
そのおかげで今ここに居るんだけどね」
「そうだったのか、なんと言う事だ」
「ねえ、見てこれ」
翼は上着のポケットから赤い玉を取り出すと、両手の上に乗せた。
その玉は重力を感じさせない上に、手のひらで浮いているようで浮いていない、不思議な感覚の玉だった。
「これが、D-m3か、長年研究していた事は確かだったんだな」
「本当に奇麗だ、これほどまでに美しいとは」
健三郎はD-m3を手に乗せると、涙がほほをつたった。




