第21章 不思議な出会い
もうすぐだな」セナの手に握られていた赤い玉がさらに激しく動き回った。
「うわ、しまった」
ケイが手に持っていたナイフを氷に突き立てようとした瞬間、固い氷に阻まれ、カチンっとはねとばされ、左手からナイフがはじき飛ぶと、スルスルと回転しながら下まで滑り落ちてしまった。
とっさにそのナイフを取ろうとケイは右手のナイフに全加重をかけた瞬間、パキッと突き立てた氷が割れ、小さな氷の破片が宙に舞うと同時に、ケイが氷の滑り台を滑るようにサーっと静かな音を立てて台座のたもとまで滑り落ちてしまった。
その時ケイの表情は何かもがくように首を押さえたかと思ったら、そのままの姿勢で動かなくなってしまった。
おい、どうした、ケイ、おい!返事をしろ」セナがいくら呼んでも微動だにしないケイ。
その数メートル先には何事もなかったようにブラックスノーヴィが近づいて来た。
「おい、神風、どういう事だ、これは一体何が起ったんだ」
動揺したセナは神風の胸ぐらをつかむと、殴り掛かる勢いで話しかけた。
「さーな、俺が知っているのはあのブラックスノーヴィってやつは死のエネルギーを持っているって事だけだ」
「じゃー、ケイは死んだって言うのか?ふざけやがって」
セナは神風に当たり散らすと、スノーヴィに向かって数発発砲したが、弾は体を貫通すると氷の地面にめり込むだけだった。
「くっそー、ケイ!」
セナがもう一度大きな声を上げた。
神風は倒れ込んだ翼を解放しながら、何も手出しをする事が出来なかった。
しばらく時間が経過した後、氷ついたケイにブラックスノーヴィが近寄ると、ケイの表情は和らぎ、パタリとその場に横たわった。
「おい、今何をした、おい、聴こえてんのか?コラ」
セナがケイに当たらないように発砲を繰り返すが、全く意味がなかった。
「神風、どうなってんだあいつ、な、教えろよ」
セナは涙を浮かべながら悔しさをこらえていた。
神風は翼を抱きかかえ頭を腕の上に乗せ介抱していると、翼がうっすらと目を開け、「始まるわ、彼らが寄生して新たな仲間を作るときが来たのよ、もうすぐ脳に寄生を始めたら、彼らは別のところに去っていくわ。
脳からまた新しいスノーヴィが生まれる、でも数時間は触れてはだめ」
それだけを話すと、翼は再び目を閉じてしまった。
「おい、お前、今なんか言ったか?」
セナが翼に近寄り胸ぐらをつかむと体を揺すった。
「やめろ、この子に触るな」神風はセナの手を払いのけるとギュッと翼を抱きしめた。
「てめえ、今なんかいったろう、こいつ。教えろ、お前達二人とも下へたたき落としてやろうか」
「ああ、そうしろよ、どうせ生きて出られないんだろ、それなら下に降りても同じ事だ」神風がセナを睨みつけながら言った。
「だまれ、なんていったんだ」今度はセナが神風の頭に銃を突きつけた。やるならやれよ、早くしねーともうすぐお前の相棒も、ブラックスノーヴィに変わっちまうってよ」「なんだと」
下にいるブラックスノーヴィに目をやると、ケイの体にスノーヴィが多いかぶさるようにしてケイの体は包まれていた。




