第21章 不思議な出会い
「なんか薄気味悪そうね」
翼もピーターの肩に手を当てて背中に隠れるように周りを見渡した。
地下から吹き上げる風は冬の北風にも似たカラカラの冷たい風だった。
「行ってみるしかないだろう、そのうち霧も晴れるさ」
神風は相変わらずお気楽な様子で一歩一歩階段を下り始めた。
四人は様子を伺いながら、階段を下りると、下りるに従って階段は末広がりに広くなり、船の先端から内部へと降りて行くように広がりを見せていた。
「なー、神さん何処まで続いているんだろう、この階段」
「さーな、何時かはそこへ着くだろうよ」
「しかし誰がこんな物造ったんだろうな、なんか恐ろしい儀式でもしてたのかな?」
相変わらずピーターがキョロキョロしながら階段を下りると、「ちょっと気持ち悪い事言わないでよ」と翼の手がぎゅっとピーターの肩の服を鷲掴みするように力を入れた。
「なんか、だんだんと寒くなるな」
地下を降りるに従って、気温は下がって行く。
何処までも続いて行くように思えた階段は、不意に終わり、その先に地下の神殿のような二本の太い柱の立つ入り口が霞んで見えた。
不思議と霧はその柱の先には立ちこめてなく、薄暗い空間の先にいくつかの同じような柱が立っていて、それぞれの柱のもとへ地上からの階段が柱のある広間へとつながっていた。
「よし、降りよう、きっとこの中のどこかだろう、奴より先に見つけないとな」
「セナ達と鉢合わせしたらどうする?」
ピーターが怖い顔をしてみんなを見つめた。
「その時はその時だ、話し合える相手じゃないだろう、覚悟を決めてやり合うだけだな」
サブローが腰の後ろにさしていたピストルを抜くと、覚悟を決めた表情で先頭に立って歩き出した。
「こっちだこっち、下に降りる階段がある」
サブローはみんなより一歩先に行くと、手招きをしてみんなを呼び寄せた。
そこには細い階段が地下へとつながっていた。
まるで迷路のように入り組んだ階段は階層までもが入組んで、地下何階まであるのかさえ検討が付かない。
冷気はその空間に充満しているようだった。
柱の先には、直径百メートルはあるセノーテのような大地にぽっかりと開いた大きな穴の下に何か大きな建物の台座だけが残っており、その様相はローマのコロッセオの中に入り込んだように複雑に入組んでいて、上下の階層に分かれた石造の穴が無数に開いていた。
そこには木が一本も生えている様子はなく、冷たく冷めた空気の漂う場所で上を見上げると垂れ下がった穴の回りのツタに蓋をするかのように、濃いグレーの雲が覆い被さっていた。
「すげえ、なんだこの広さは?」
神風は入り口に立つと、ぶるっと寒さと恐怖から身震いをしたあと、当たりを見渡たしあまりの広さに目を見張った。
「凄いなここは、何が一体過去にあったんだろう」
あまりの寒さから両手を組みながら体を震わせたサブローが辺りを見回すと、「見て、ここきっと何かあるわ」と翼が首から下げた赤いネックレスを掲げると、今まで以上に輝きを増していた。
「どうやら同じ場所へたどり着いたようだな」
不意に凛とした空気の向こうから声がした。




