第21章 不思議な出会い
「何も見えねーよ、気をつけろよピーター」
後ろを走るピーターがほんのりかすんで見える程に、辺りは霧に覆われている場所が増えて来た。
「気をつけろ、木にぶつからないように進め」
二機は速度を落とし、霧の立ちこめる中をさまよった。
「とりあえず、南だ、南へ進もう」
方位磁石で方向を確かめると、真っ白な靄を恐る恐る走り抜けた。
「ねえ、なんか光っかってるよあそこ」
翼が霧の中にほんのりと黄色く光っている場所を見つけた。
「何かしらあの黄色い光」
左前方、十時の方向に黄色くほのかに光る剣のような細長い光の筋が、霧に反射して神々しさを照らし出していた。
「何だよれ、行ってみよう」
四人は木々の間から見えた光の場所へ向かうと、どんどんその光は輝きを増してくる。
二機は吸い込まれるようにその光のもとへと近づくと、大きな時計仕掛けが圧縮されてつぶれたような、機械の固まりの隙間から、にじみ出るように金色に輝くひかる液体が細い筋を作り地表に流れ出ていた。
「金だ、これ金だよ」
「へんね、金ならすぐに固まるはずよ、こんな水のような液体ではないわ」
「でも見ろよ、金だよ、間違いない」
サブローが確かめようと染出た金の液体に触れると「つ、冷た!」と手を引っ込めると、べっとりと手の指が金色に染まった。
「凄いや、手が金色になっちまった、なんだこの金は」
四人は興味津々に流れ落ちる小さな川をたどって行くと、その先では、大柄の二人がその金の液体を瓶につめている所に遭遇した。
「なんだ、お前ら、何処から来やがった、これは俺たちが見つけた金だ、とっとと失せろ」
大柄の二人は四区に住むクリークとグラッパという、顔中髭もじゃの男だった。
「これは俺たちの金だ」
もう一度グラッパが大声で言うと、金を瓶につめるのを止め、右脇に置いてあった散弾銃のような物を手に持ち神風に銃口を向けた。
「ちょっと、ちょっと待てって、俺たちはこれを探しに来たんじゃない、たまたま通りかかっただけだ」
神風がとっさに言い訳を言うと、「ちょっとキラキラしていたからその光の先に何があるのかなって見にきただけなの」
と作り笑顔を見せながら翼も二人に話しかけた。
「おまえ、その手についているのは俺の金だろう、やっぱり取りに来やがったな」
話すと同時に、グラッパがサブローの足下に銃を放った。
バーンと森中に銃声がこだますると同時に、地面の小石が当たりに飛び散った。
「ち、違うって、これはだな、その、この上でちょっと触っただけなんだ、機械からにじみ出ていたから」
「ほら見ろ、盗もうとしてたんじゃねーか、この金の液体は一滴たりとも渡さねーぞ、これ以上邪魔すると、今度は血が流れるぜ」
クリークが腰から長いナイフを抜くとサブローの顔に刃先を向けてすごみを見せた。
その顔からは、話し合いに応じるような相手ではない事が見て取れた。
「分かった、俺たちはすぐに消えるから、この金には興味が無いんだ」
そういいながら、四人はその野獣ような大男から目を離さないようにそっと後ろへ下がると、急いで上流へと走って逃げた。
すぐ横の木の幹がバーンっと銃弾を浴びてはじけ飛ぶと、続けざまにそこら中で木の幹がはじけ飛ぶ音が響いた。四人は振り向きもせずに、あわてて逃げ戻るとエアフラクターに飛び乗り、その場を走り去った。




