第21章 不思議な出会い
「お、おい、サブ、おい」
あわてて神風とピーターが駆け寄り、ほほをたたくとパッと目を開けてぶるぶるっと猫が体を震わせるように小刻みにふるえ、「し、しびれた〜」と一言いうと三人は一斉に大笑いした。
「きっと放電してるんだな、触ると危険ってことだ」
「こんなものほっといてさっさと行こ」
「こいつに関わるとろくな事ねーなまったく、あ痛たたた」
サブローはまた、お尻を押さえながらもう一度台座を蹴ろうとしたが、ポーズだけで止める事にした。
「チッ」とサブローは一言履くと、四人は大砲を横目に見ながらまた、森の中へと進んで行った。
D地区は他の森と違って何か空気が違っていた。
それは、エンジンマウンテンから吹き下ろされる人工的な空気感が森を包んでいるからだ。
所々に今までに見た廃墟だけではなく、錆びた車の山や、不思議な色をした川が流れていた。
「だんだんと山に近づいて来たんだな、見ろよこの川まともじゃないぜこれは」
廃墟のコンクリートブロックの間を縫う川を見つめながら神風は唾を飲んだ。
「なんか嫌な感じね、これって水?じゃないわね、何かしら」
翼が木の枝を折って川の中へつけると、ジューっと煙を上げ、つけた部分が溶けてなくなってしまった。
「う、うわ、これ硫酸だよ」
ピーターが声を上げた。
「でお、何も臭わないよな?」
神風が一歩川から後ずさりしながら辺りを見渡すと、風に吹かれて舞い降りた葉っぱが川に落ちると、あちこちで煙をあげているのが見えた。
「ヤバい、この川、足でもつけたら溶けちまう、一体この山は何なんだ」
神風は山の麓から頂を見上げると、ますます山の一帯に興味がわいて来た。
その川は、まるで絞り出された果汁のように山の麓から少しずつ流れ出ていた。「きっとこれも何かのエネルギーになるんだろうな、あのエゾって奴が使ってるに決まってるよ」
サブローが折れた木の倒木を川へ投げ込むとゆっくりと泡を立てながら溶けて沈んで川底へと沈ん行った。
「何なんだこの川は、何処から流れてるかちょっと行ってみねーか」
サブローも興味があるらしく、何度も木の枝を放り込んでは溶ける様子を眺めていた。
二機は川の上流に機首を向けると、蛇行する小さな川に沿いながら、川の様子を伺うが、その緑色をした川の中には生物らしき物は見当たらず、これ以上溶けようがないといった形状の奇妙な石が点在しているだけだった。
「見ろよあれ、すっげーぞ、巨大な花が咲いてるぜ」
サブローが声を上げた。流れ出す緑色の川の上流には巨大な花畑の湿地帯が広がっていた。
「すごい花だ、でもなんで溶けないんだこの花」
その花は湿地帯の水面に花だけがぎっしりと咲き乱れていた。
「なんで、こんな環境で育つんだ?信じられねーよ」
まるで蓮の花が咲いた古池のように、目の前に奇麗な光景が広がっていた。
ただ違ったのは、その花の大きさの直径が一メートルを有に超えている事だけだった。
何処までも続く湿地帯は奇麗な光景でもあり、一歩間違えれば恐ろしい事態を招き入れる危険な地帯だった。
二機はホバーリングしながら、神風が一番大きな花の上にそっと降りると「ぐわん」っとたわんだが、湿地帯に沈む事なくひと一人を有に乗せる事ができた。
「足下が沈んだら俺も溶けちまうなきっと」
神風は笑いながら花の内部を覗き込むとたっぷりと蜜のような液体が潤っていた。




