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D-m3  作者: wata
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第21章 不思議な出会い

第21章 不思議な出会い

「もう私にはこれを持つ理由もなくなってしまった。

神風君、これを持って行ってくれないか、そして未来のために見つけ出してくれ。きっと何かが変わる事を信じて。

我々は残された人生をここで過ごすだろう、でも君たちは変える事が出来るんだ未来をな」

健三郎の真剣なまなざしで神風を見つめると一筋の涙が頬をつたった。

神風に自分の過去を重ね合わせ、野望や期待を既に失いかけていた自分への寂寞な思いが、大切に首から下げていた物を手放した事で、心に残っていた最後の砦から解き放たれたかのように、その一筋の涙の訳は計り知れない複雑な思いが込められていた。エアフラクター二機に分譲した四人はまだ日が高いうちに出発をした。

じめじめとした亜熱帯のジャングルのような谷の底の空気が鎧のように身に纏わり付いてくる。目の前の倒壊したビルの窓から天に届くようなヤシの木が二本生えているのが見える。

二機は軽快にその間をすり抜けると、D地区側の切り立った崖の上部が、ちらちらと木立の隙間から見え隠れいている。「ようやくたどり着いたか、さてと、ここからだな」神風は目の前に立ちはだかる垂直な壁に目を向けると、首からぶら下がるペンダントが、神風の心情を察したのか、何処までも深い赤い色がボワッと一瞬光った。

まるで、神風の意志を察した意志ように思えた。

「さて、どうする神さん」

「そうだな、登れる場所を見つけるしかない」

神風とピーターは二機のエアフラクターのハンドルを握ると、機首を南に向けアクセルを握った。

「必ず何処かにあるはずだ」

神風は健三郎の言葉を思い出していた。

我々はかつて歩いた場所があるはずだ、おそらく南へ数十キロも行けば、D地区へ通じるルートがいくつかある、しかしまともに登れる場所程容易にD地区には入れない、よく注意して登る事だ」

その言葉を思い出しながら先へ進むと、かなりな規模の崖崩れの場所が遠くにいくつか見えて来た。

近づいてみると、あきらかに大きな岩が、何かの力によって崩れ、無造作に岩肌を露出している。

もう何年、いや何十年も前の崖崩れである事は岩の隙間から空高く伸びる木々の生長を見ればその年月の経過を見て取れる。

神風はいくつか見える一番手前の大きく側面の岩壁がはがれ落ちていて既に隙間から木々がその斜面に生い茂っている道を走っていた。

「ここは登りやすすぎる、きっと上には何かあるぞ」

案の定、半分も崩れ落ちた坂道を登ると、その先は何か異様な空気が漂っていた。「見ろよサブ、開けたぞ、ここ周りが奇麗すぎると思わないか」

「そうだな、まー突破してみるか」

「いや、よく見ろ、右上の木の間」

そこには見かけこそ普通の岩だが、よく見ると不自然な丸い穴が大きく開いていた。

「左のあの木の下にも同じ穴があいている岩があるぜ、きっと何かあるな」

神風はエアフラクターから降りると、歩いて慎重に崩れた岩山を登って行った。

数メートルも先に進まないうちに、右側を歩いていたサブローの胸の辺りに赤い光の点が現れた。

「サブ、よけろ」

一瞬の判断だった。

サブローと神風はとっさに倒れ込むようにその場に伏せた瞬間、ピシュッと小さな何かが飛んくるような音がしたと思ったら、後ろの木に小さな穴が空き、こげた痕からは煙が立ち上がり辺りはきな臭いに包まれた。

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