第20章 ココロの葛藤
二十章 ココロの葛藤
「お前らいいか、探しに出た全員をマークしろ、絶対に目を離すなよ」
ジークは十一区全員の行動を監視するように手下に指示を出した。
「十一区の神風とサブローとか言うやろうはココロお前だ」
「え、あ、でも神さんは友達で顔も分かってますし・・・」
「だから、好都合なんだよ、お前は奴らが戻る所を見計らって行動を考えろ、いいな、俺にも考えがある、もしあの二人がD-m3を持ち帰ったらお前は俺から逃げて来たと仲間に戻ればいい。いいな、そして俺がどれだけ非道だったか伝え信じ込ませろ、その後はお前次第だ。いいか、お前ら全員も見つけ次第俺に知らせろ、分かったな、ココロ、下手な考え起こすんじゃねーぞ、お前、確か妹いたよな」
「な、なんでそれを」
「今頃、ネオとベンが子守りしてる所だぜ、ハハハハハッ」
「き、汚ねーぞ、家族に手を出すなんて、なんでなんでそんな事を・・・」
ココロはその場に崩れ落ちた。
「なんで、なんで僕だけ」
「ハッハッハッハ、簡単な事だ、俺たちは酒飲んで獲物を捕ってくる輩を待てばいい、戻って来た所をサッと、鳶のように頂くだけだ、なぁ、簡単だろハッハッハ」
ジークは片手に持ったグラスにウイスキーを注ぐと、一気に飲み干し、また大笑いしながら奥の間へ消えて行った。
ココロはふさぎ込んだまま、ずっとその場で鳴いていた。あまりの非道さに自分の心が否応無しに道を外れて行くのが感じ取れた。
「ちっくしょう、なんでだよ、奪ってくれば妹を助けてくれるんですか?」
ココロの顔はぐしゃぐしゃになりながら、床を叩いた。
周りの仲間達もココロには触れず、あーぁ、といった顔をしながら、誰かがつぶやいた。
「またいつもの気まぐれだぜ、しかたねーな、オイ、行くぜ」かけ声とともに、みんなが散らばっていった。
「畜生、畜生、どうすれば、どうすればいんだよ、みんなの事なんか裏切れませんよ、くっそー汚いぞジーク、なんで、なんでオイラの家族まで巻き込むんですか?」
何度も何度も嗚咽をはきながらココロは顔を歪めた。
その度に今までにない怒りと、誰も信じられない空虚な気持ちが入り交じっていた。
「なあ、新入り、俺もさ、五年前にここへ来たんだ、まあ、お前の次に新入りって訳だけどな」
白髪まじりのひげを生やした通称オッジと呼ばれている年齢不詳の男が、そっとココロに近づき声をかけて来た。
「あれでいてジークってボスは一人一人の事を考えてくれているんだ。分かるか?俺も初めはいっその事あいつを殺して自分も死のうかと思ったときがあった。ま、そうはいっても俺には家族も兄弟もいねーけどな、でもボスはそんなクズだった俺を救ってくれたんだぜ、ま、五年も前の話だけどよ」
オッジは、五年前の出来事を思い出しながら、ココロを慰めるつもりで話出した。




