第19章 森の秘密
ここへ来て、二日目の朝だった。
「おい、起きろ、おい」神風はかすかに人の声が聞こえパッと目を覚ますと、そこにはあの目つきの鋭いナマズのような口ひげをはやした男が立っていた。
「お前ら、また来やがったのか」
「え」まだぼーっとしてる神風に向かって目つきの鋭い男が目の前につっ立ったまま話しかけて来た。
「お前らがきてからろくな事がないんだよ、二、三日前にもまたあの小娘と外人みたいな奴らがヘリできやがったし」
「翼とピーターはついてたんだ」
神風はその話を聞くと目を覚まし、同時にサブローを叩き起こした。
「どうも、お久しぶりというか、また、ちょっと健三郎って人に話を聞きたくて」「そうだと思たよ、だけどここには居ないよ」
「はあ、やはり」
「そうさ、あれだけの人間に見つかったらもうここでは暮らす事はできない、お前ら本当に疫病神だよ」
「まー、そんな事言わないでくださいよ」
ハハハ目つきの鋭い男は神風の言葉に思わず笑ってしまった。
だが、目だけは鋭さをなくす事なく二人を見つめていた。こっちだよ、早く来い」
まだ、目が覚めぬままのサブローを起き上がらせると無理矢理連れ出し、三人は昨日探した二ブロック先の建物へと向かった。
「ここって、昨日来たけど人の気配は何もなかったし、ほとんど崩れてすめる状態じゃないですよね」
神風がそう話すと、「そうだよ、だから都合がいいのさ、昨日お前たちが来た事も知っているさここの広間を見てあきらめて帰ったのも知ってるよ、だから好都合なのさ、人の目を欺くには自分からあきらめさせるのが一番ってことだな」
ようやく目を覚ましたサブローが「騙しやがって」っと口を開いた。
崩れた建物の裏手へ回ると、以前住んでいた建物よりこじんまりとはしているものの、より快適な住空間が広がっていた。
窓枠には、所々割れガラスがあるものの、まともなガラスも残っていて、よりいっそうきれいに整えられた廊下には生活感がにじみが出ていた。
「ヘーこんな所があったとはね、こりゃー気が付かないよ」
キョロキョロと辺りを見回したサブローは、柱をピタピタと平手でたたきながら奥へと歩いて行った。
並列に並ぶ学校の教室のような一室に案内されると、健三郎と見知らぬ女性、それとピーターと翼が朝食を済ませる所だった。
「おぉ君たち、やっと来たか?」
扉を開けると同時に健三郎は声をかけて来た。
「良かった無事だったんだ」
ピーターが飲みかけのカップを置いた。
「全く、三日もかかるかしらね」と、翼が振り向き様に声をかけた。
二人は入るなり床へへたり込み、「いやー、ここに来るまで三日もかかっちゃって」っと神風が行った瞬間に、お腹がキュルキュルっとすごい音を立てて鳴り出した。
「俺たち、三日間ほとんど何も喰ってないんだ、森の中をさまよい歩いたもので」「あらそうだったの、大変な思いしたのね、今何か出すわね」
健三郎の隣に座っていた中年の女性が優しく声をかけてくれた。
「彼女は僕の家内だよ、いま食事を用意してくれるよ、さあ、どうぞここへ座って」
健三郎は席を立つと、自分の椅子に座るよう譲ってくれた。




