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D-m3  作者: wata
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第19章 森の秘密

「あ痛たたた、全くそこら中痛てーや」

二人は笑いながら、ようやくその場を脱出する事ができた。

しばらく林の中を抜けると見た事のある岩山の風景が見えて来た。

谷の下へ通じる道を見つけ、岩をよけながらぶつからないように慎重に下ると、谷の下へ降り立った。

「なんか、ここは空気が違うな、何だろう、むしむしするっていうか、本当ジャングルって感じなんだよな」

鼻をヒクヒクさせながら、サブローは降り立った谷底の空気の匂いをかいでいた。谷の下と上とでは空気の流れや、気温までもがまるで違う。それにまして、外敵が侵入する事のできない高い崖によって独自の進化を形成している生き物ががいるに違いないと思わせる雰囲気が漂っていた。

確かここから南だったよな。

「ああそうだ、そのうちそこら中に壊れた建物が見えてくるよ」

木々の間を軽々と抜けると、見た事のある低層階のビル群が見えて来た。

「あそこじゃねーか、思い出したぜ、あの入り口、ほら上見ろよ、引っかかった仕掛けが直してあるぜ、もう一度引っかかってみるか?」

建物を見つけた途端、何か懐かしさがわいて来て冗談も言える程気持ちが楽になっていった。

サブローもまた少しづつではあったが、エネルギーを持ち帰る事に意味を持ち始めていた。

建物の正面から左側の脇道を通り、見慣れたすり鉢状の階段の裏手へ進んで行くと、花壇に花が咲き乱れている広場に出た。

「花が咲いてるよ、こないだまでつぼみしかなかった思ってたけど、あのときはそこの川の魚に目が行ってたっけ」

両脇に立つビルの間にエアフラクターを止めると、階段を上がり二階へ上がった。以前と変わらないローマ神殿のような広間へ出ると、そこにあったぼろぼろのソファーはなくなっていた。

「あれ、なんか人の気配がないな」

「そうだよな」

「確か、ぼろっちソファーが置いてなかったっけ?」

「あったよ、あった」

「何処行っちまったんだ」

二人はそのまま奥の扉を開けて入ったが、そこにも一夜過ごしたソファーがすっかりと片付けられて空っぽの部屋になっていた。

「神さん、誰もいないぜ」

「そんな感じだな」

「どこに行っちまったんだ、あの人たち」

「あの後みんな連れ戻されたのか?」

「さーな、もう少し奥へ行ってみるか」

二人はさらに別の棟にも足を踏み入れたが、手前の四つのビルには人影すら見えなかった。

そこからワンブロック先にも同様の建物がいくつか建っている。

同じような施設がいくつも集まった郊外型のショッピングモールのような作りの街で、一見した所ではどれも同じような作りで、自分たちが何処にいるのかさえ分からなくなるような、まるで迷路の街のようだった。

「こりゃー広いな、まるで迷路だぜ」二人は次のブロックへ行くがそこも人の気配がまるでなく、さらに向のワンブロック先の建物郡へと向かった。

そこでようやく積もったほこりを踏みつけた足跡を見つけた。

「ここだ、ここにいるに違いない」

二人はそのまま、薄暗い通路を通ると、一番最初に訪れた場所と同様な円形の広場に出くわした。

しかし、そこは既に天井が崩落していて、うずたかくコンクリート片が積み上げられ、隙間からは天高く太い樹木が何本も生えていた。

「ここはだめだな、居ないよこれじゃ」

神風はあきらめたように上空を見上げると、違う場所を探しに一旦初めの場所へ戻る事にした。

「いったい何処へ行っちまったんだよ、これじゃーすべてが計画倒れじゃねーか」「ピーターも何処だよ、せっかくここまでたどり着いたって言うのに」

二人は途方に暮れながらも、ソファーのなくなった空っぽの部屋でまた一夜を過ごす事になった。

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