第19章 森の秘密
パチパチ、一瞬何かがショートし、スパークの光が見えた。次の瞬間電源が落ち、ドスンっと地面に着地したかと思うとパタリと横倒しになった。
その数秒後、赤い目の蜘蛛は二体が重なるような格好で、エアフラクターの周りを一周するとそのまま林の中へ消えていった。
二人は一瞬のでき事に呆然と立ち尽くすしかなかった。
「あれがリージェントCか、おそろしいな、俺が気づかなかったらあいつに殺されてたって事だよな」
「そうだ、あいつらはエネルギーを奪うためならどんな事だってするって言うからな」
「危ねー危ねー、そういやーすっかり真っ暗だな、あいつら暗くなってからしか動かないんだっけ、ほんと危ない所だった」
サブローはリージェントCの存在をすっかりと忘れていた。
「神さん、今日はもうだめだ、あの一機はもう使えない、もう一機は明るくなってから直すしかないな」
二人はその夜は岩陰に身を寄せて一夜を過ごすしかなかった。
相変わらずの強い風は岩の隙間をピューピューと音を立てて谷底へと通り抜けて行った。
その音は一晩中丘の上に響き渡り、空の雲は足早に流れて行った。
「寒!」
冷えきった体を震わせながら目を覚ますと、ちょうど東に見えるエンジンマウンテンの左側から太陽が顔を出していた。
「寒いなしかし、もうすぐ夏だって言うのに朝は冷え込んでくれるよな」
先に目が覚めた神風が起き上がると、ちょうど岩の影から朝日が差し込み始め、体を温めてくれた。
「今日は日が出てるか、珍しいな、あ〜あ気持ちいい朝はいいね!昨日の悪夢が嘘のようだぜサブ、起きろよ、珍しい朝日だぜ、すぐに隠れちまうから今のうちだぞ見れるのは」
サブは目を覚ますと、「あ痛たたた、今度は右のお尻が痛てーよ」
「おお、神さん、もう朝かよ、昨日は一体なんだったんだ、こんなまぶしい朝日が待ってるなんて、お天道様も俺たちに味方してくれてるみてーだな、あ痛たたた」サブローは起き上がる体勢を取ろうと、右の尻を押さえて立ち上がると今度は左の古傷も押さえながら「さてと、どうするもんかな、もう一台もかなりきているな」と両手でお尻を押さえ不思議なポーズで見つめていた。
昨日反重力エネルギーD-m2を奪われた、直したばかりのエアフラクターを見に行ったが電気系統が完全にやられ、むき出しになったこげた配線は見ただけでもすぐに使えない状態である事がわかった。
「サブ、こっちはだめだ、ショートさせられて配線黒こげだ」
「わかった、こっちのを直そう」
結局前日同様にもう一台の横たわるエアフラクターを引きずり出すと、配線からやり直し、すべてが終わったのは昼の時刻を回った所だった。
「よし、スターターを押してくれ」
キュルキュルキュルッっと言う音とともに、ブウォン!っと電源が入り、横たわっていた状態から機体が静かに水平になり浮き上がった。
「やった、こいつもなおったぜ」
二つのスイッチを入れ軽くアクセルを握ると、ブオーンっとリヤのファンが回り始めた。
「よっしゃ、行けるぜ」
二人は顔を見合わせると思わず微笑んだ。
「あー、よかったなー、しっかし神さん、腹減ったな、早いとこ健三郎の所行って飯にありつかねーと、俺たちもガス欠になっちまうよ」
サブローが白目を剥きながらへたれ込むようにしゃがみ込むと、仰向けに転がり大の字になった。




