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D-m3  作者: wata
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第19章 森の秘密

「ハックション、うぅ、寒、サブ、早く抜けようぜ、俺風邪引いちまうよ」

「ああ、俺だっておんなじだ」

「パンツまでびしょびしょで気持ち悪いったらねーよ」

雨は雨雲の中を進むに連れて激しさを増して行った。

「もう少し高度を落とさないと視界が悪いな」高度を下げると気流は幾分安定したが、雨の激しさは変わらなかった。

その時また真っ黒の雲の中が光ったと思った瞬間、大きな稲妻が前方の森へむかって大地を裂くかのように落雷した。

バリバリバリっと、天がさける音に二人は一瞬息をのんだ。

その大きな落雷から枝分かれした一本の放電線が右の翼の先端へ、バーンと勢いよく落雷するとものすごい衝撃が走り、機体が一瞬右に傾き、危うく衝撃でサブローは気絶する所だった。

「サブ大丈夫か?」

「ああ、一発食らったな、ヤバい神さん、出力が落ちてる、もしかするとエンジン止まっちまうよ、電気系統がまともに食らったかも、どうしよう」

既に機体はあきらかに失速していた。

「サブ、どうなってんだよ」

「いや、今の雷でエンジンの電気系統やられたらしい」

「どうすんだよ」

「神さん、こうなったら捨てて降りるしかない」

「この雨ん中か?」

「急がないと機体もろとも墜落だぜ」またその時、バリバリバリという轟音とともに稲妻が大地めがけて走って行った。

「やべ、もう一発食らったら本当におしまいだぜ」

「神さんどうする」

「降りるか」

「分かった、先行ってくれ、サブ、お前が行かないと窮屈でパラシュートも背負えないんだ」

「わかった、じゃー先に」

キャノピーをスライドさせ、頭上の空間を確保すると、傾く機体から先にサブローが飛び降りた。

ものすごい雨と、吹き荒れる風の中、あっという間にサブローの姿は霧の中へ消えて行った。

「俺も行くぜ」

やっとの思いで機体から這い出ると、そのまま両足で機体を蹴るように後方へとジャンプした。

危うく尾翼の翼の先端に引っかかりそうになったが、神風も大雨の降る空へと放り出されて行った。

「開け、開けってば」

サブローはこんがらがるパラシュートのグリップを、あやとりをするようにほどきながら、徐々に加速度を高め地上へと落下して行く。

「やばい、やばいよ神さん」

いつもの強気から不安の焦りが頭の中を支配し始めたとき、ようやくパラシュートが開いた。

ボワッと一瞬にして体は地上へ吸い寄せられる重力から解放され、大空へ浮き上がったと思ったら、今度はゆっくり地上へと降り立つ準備を始めた。

神風も一瞬パニックにを起こしそうになったが、すぐにパラシュートが開き、ゆっくりと降下を始めた。

二人の距離は五十メートルぐらいだろうか、下へ先に降りていくサブローの丸い形をしたパラシュートが雨にかすんだ空気の中にうっすらと見えている。

大声で「大丈夫か〜」っと神風が声をかけるも、聴こえる訳もなく、ただ風にあおられながらどんどんと降下して行った。

上空から下を見ると、眼下に広がる森の遥か遠くに、大きな谷間の断崖がうっすらと見えている。

「クッソー、ここで降りたらあそこまで行くのにどのくらいかかるんだ」

神風は頭の中に一瞬そんな思いが巡った。

バサバサバサ、木の枝をなぎ倒しながらサブローは地上すれすれで止まり、地表への直撃は免れた。

神風は大木に引っかかる事なく、サブローの着地地点から六、七十メートル離れた少し開けた雑木林の場所へ着地した。

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