第19章 森の秘密
第19話 森の秘密
その日の午後だった何となく話の流れがうやむやになっていた。
飲茶を食べながらの会話はそれ以上進展する事なく、食事を終えた五人は足早に飲茶街を後にした。
「で、どうすんだよ、行くって言ったって翼は操縦できないし、あんな深い森の中一ヶ月も連れ回したら死んじまうかもしれないぜ」
神風とサブローはその場でどうするか決められず、とりあえず歩きながら会話をかわし、早急に答えを出さなくてはいけない事はわかっていたが,自分たちがはっきりと決めかねている事にも少々苛立ちながら、金魚屋に向かう最後の曲がり角を曲がった。
「ねえ、もう一度健三郎さんの所までいきましょう、そうすれば次に進むための何かがわかるかもしれないじゃない、私、なんだか面白くなって来た、冒険小説の主人公って感じね」
「で、どうやって行くの、あの廃墟まで」
「あのね、森の中を通り抜けて行くと、歩きで二、三日はかかるのよね、もちろん道なんてないからさ、まあ、俺は飛行機でビューンとね、ひとっ飛びって所かな」神風はネネの言った事を信じながらも、どうやって翼を連れて行くかを考えた。
健三郎のいる場所までなら、何とかいけそうだというシミュレーションは頭に浮かんでいたが、まだ現実とは思えない行動に戸惑いと焦りを抱いていた。
「小型飛行機なんて乗りたくないわ、今度こそ落ちたら死んじゃうじゃない、あんな経験二度としたくない」
「ピーター、他に何かないの?」
「俺も乗り物と言えば小型飛行機ぐらいしかなくて」
「たよりにならないわね、まったく、いいわパパに頼んであげる、ここから森の中を抜ければいいんでしょ」
「パパって誰なんだよ、翼のパパって森の中突っ走れるもんでも持ってんのか」「まーね、私のパパは偉いのだ、金融省の幹部ってとこかな」
「え〜」
四人は一斉に驚いた。
「ま、まあそうだよね、あの飛行機に乗れるくらいなら、そのぐらい人じゃないと無理だもんね」
急にその話を聞いてピーターが怖じけずいた声を出して翼に話しかけた。
「でもさ、そんなおやじなら翼のこといかせる訳ないだろう」
「そうだよ、やっぱり危ないから止めた方がいいって、でも大丈夫、私にはネネがついてるから」
「それって、さっきからどういう事?」
「彼女の先祖はシャーマンなの」
「シャーマン?なんだそれ」
「そうね、霊媒師、自然と会話ができる人ってことかな、といっても遠い祖先がそうだったってだけで、ネネはすべてを見渡せるかどうかはわからないけれど、こんな話をしていたわ」
「墜落した時にネネだけが囲われた飛行機の残骸の中で守られていたんだって。森の力がそうしてくれたっていっていたわ、初めは私も信じていなかったけど、助かったのも何となくわかってたって、ね、すごいでしょネネって。だから神風君が訪ねて来た事も、信じれば手に入るって言っていた事も、本当の事だと思うの、それに私の力も必要だってね、なんかワクワクする話でしょ、そういうのって」
「そりゃーワクワクって言われればそうだけど、なんつーかな、俺たちはすべてがさ、真剣勝負なんだよね、分かる」
サブローが腕組みをしながら文学小説でも読んでいるかのような優等生ヅラをしていた。
「でもさ、時間がないだ、俺たちは今から出発して夜までには健三郎の所へ行く、ピーターお前は翼と一緒に夜までに健三郎の所に来れるのか」神風は今になって急ぎ始めた。




