第18章 挑戦
「あったりめーだろ、そんな事、俺を誰だと思ってんだよ」
「神風君でしょ」
「そんな事言ってんじゃねーよ、だいたい年上の俺様捕まえて君呼ばわりはないでしょ、さんとか様とかないのかよ」
「ハイハイ、神風君」神風以外が全員大笑いをした。
突然やってきた翼に、みんなは何かほっとしたような、懐かしい楽しかったときの安らぎを覚えた。
翼もこの仲間達がちょっとだけ気にかかっていた。
「ねー誰、この子?」会話が一通り終わった頃、カイチが口を開いた。
「ああ、翼って言ってあの飛行機に乗っていた子さ」
「そうなんだ、俺カイチ、よろしくね!」
とスッと座っていた椅子を引くと立ち上がって翼に近づき握手をしようとした時、ピーターがスッと間に入って、だめだめ彼女はまだ未成年だから、カイチと仲良くすると危ないからね」と割り込んできた。
「何だよおまえ、お前の方こそスケベ面しやがって、どけよ」
「いやだね」
「ったく、止めろって、相変わらずの喧嘩すんなよ」
サブローが怪訝な顔つきで、二人の間に割って入った。
そんな口喧嘩をしている間に、翼は外の大きな瓶の金魚を見ながら凪と話をしていた。
「これはねえ、金魚って言う魚でね、日本では江戸時代に庶民の観賞用に広まって行った魚なんだ、ほら、この目玉の飛び出したような種類の金魚がいるだろ、これ出目金っていうんだ、あれみて、ちょっとおデブの頭がふくれているような種が和欄、あのすばしっこく泳いでいるやつが和金って言って、野川で泳いでいるフナにもっとも近い種族なんだ。
ちょっと尾っぽもみてみて、ほら尾っぽもみんな違っていて、あの和金は鮒尾っていう尾の形状でハート形をしていて可愛いだろう。
こっちの金魚は三つ尾、あっちのが四つ尾、種類によって尾もみんな違っていてもっと複雑な形状をしている金魚もいるんだ。
和金って一言で言っても、その中でいろいろな種類がいて、こっちの小さい鉢の中にいるのが朱文金、江戸時金、庄内金、下の段左から二番目のがコメットその隣が、和唐内、右上の大きな鉢の中にいるのがオーロラって種類で一緒に入っているのが江戸時金っていうオーロラのお父さんって所かな」
「すっごーい、凪さん本当に金魚に詳しいのね、ちょっとだけ尊敬した」
「あれ、ちょっとだけなんだ」
二人はいろいろな金魚の話をしながら楽しそうに笑っていたが、中からその様子をのぞいていたカイチとピーターが「たかが金魚だろう、焼いても喰えねーぜ」っと、翼を金魚ネタで奪われた事に少々いらだちを見せていた。
「マーいいじゃねーかよ」
サブローが二人の顔を見ながら言った。
「それよりさ、どうすんだよ、これから時間無いんだぜ」
「そうだった、とんだ翼が舞い込んだから、俺の話まで飛んじまったぜ」
と、神風がつまらないシャレを言うと、「何それ、寒」と言い返された。
「さて、じゃーいくとするか」
「おお、時間がもったいねーぜ」
「あの健三郎って人の所へいって、ネネから聞いた事を説明するよ、どうもまだ理解できないんだ」
「少しはわかりやすく説明してくれるかな?」
神風はまた、言葉の渦に入り込んでいるようだった。
「そーとなりゃー、全は急げって言うだろ、よし、いまからいくぜ!」
サブローが大声で立ち上がると、テーブルががたんと少しだけ持ち上がり、立ち上がった拍子に、椅子もばたんと後ろへひっくり返ってしまった。




