第18章 挑戦
雲のようなデザインの飛行船は、音もなくスーッっと動き、不思議な印象を神風達に与えた。
駅のエレベータを上がり、第十六施設のセキュリティーが最も厳しいゲートで一旦止められたが、地区から外出するときは何もなかったかのようにスルーパスで施設外へ出る事が出来た。
「出るときはどうぞご勝手にって、どんだけこの地区の人差別されてんだろう」「全くいいよな、こんなところに住んじゃってさ、でも翼ちゃんと結婚すれば住めるかな」
ピーターがうらやましがる顔つきで独り言を言った。
ゲートから、第十六施設を抜けて金魚屋のある商業地区、第十三施設まで四十五分かかった。
その間神風はピーターが話しかけても「うん」とか「ああ」といった、気のない返事しか繰り返さなかった。
神風は金魚屋に戻るまでネネの話した内容をずっと考えていた。
それがなにを意味していて、どういう事なのか?形も色もわからない物体を手に入れるってどういう事なのか、頭の中は堂々巡りの繰り返し結論を出そうとすると、またまた始めの疑問が浮上してしまう。
「神さん、考えたってどんな形をしているのかわからないんじゃ探しようがないよ」
ピーターも同じ事を考えていたが、神風ほど真剣に手に入れようとは思ってはいなかった。
金魚屋では既にサブローが待機していた。
「よぉ、遅かったな神さん、こっちは準備オッケーだぜ、それでどうする、何処へいく?まずはパーッとひとっ飛びと行こぜ」
サブローは妙にテンションが高く、行く気満々の顔で神風に話しかけた。
「それで、どうだった、ネネってばあさんは?うまいこと聞き出せたか?」
「まあね、でも俺が考えていた答えとは違っていたかな」
「で、どんな物だってそのD-m3っていうやつは?」
「さーね、形も色も誰もわからないらしい、わかった事と言えば、求める者だけが手に入れる事が出来るんだとさ」
「は?何のことだ、何を求めるんだ」
「さーね、そのエネルギーを手に入れたいって思えば手に入るんだろ」
「だから、どうやって手に入れるんだよ」
「だから、求めれば手に入るんだよ」
サブローと神風の話は堂々巡りを繰り返した。
「あなた達って相変わらずのバカね」
突然、入り口から声がしたので振り向くとそこに先ほどまで、ネネといたはずの翼が立っていた。
「つ、つばさーっ」みんなが一斉に声をかけた。
「なんでお前がここにいんだよ、お前だいたい学生だろ、っていうか、どうしてここがわかったの」
神風は狐につままれたような顔をした。
「へへ、あなた達を尾行したのよ、ふふ、完璧だわ、全然気がつかなかったでしょう、ふふやはり、私は天才ね」
「何を言っんだよおまえ、学校いけよ!」
「ええ、行くわーっと言いたいところだけど、今日から夏休みなの!、さーバカンスしなきゃね、暇だから後つけてきたんだけど、あなた達の隠れ家って所?秘密を知ってしまった、ハハッ」
「うるさいなー小娘のくせに黙ってろ」
驚きを隠せなかった神風だったが、どこか憎めない翼をみんなは快く思っていた。「で、翼何しにきたんだ、こんな市民の街にまで?」
「ちょっとね、金魚探しに来ただけよ。それで、ネネの話は理解できたのかしら」




