お兄ちゃんは生涯独身!
幹部達はステラの酒癖をよく知っていた。
泣き上戸。
そして、酔うとやけに素直になることも。
「花嫁……ならハルトがいい」
聞き出そうとした張本人であるハルトは、ただただ開眼していた。
イヴは口元を押さえ、ハルトに視線を送る。
一同の視線がチクチクとハルトに突き刺さる。
ハッと我に返ったハルトはヘラヘラと笑って見せた。
「……おいおい、柄じゃないだろ〜」
ステラは頬を染めながらハルトを見上げる。
「ハルト言ったじゃん……強い女がいいって」
「それガキの頃だし、それに言ったのは俺じゃなくて」
「でもでも、頷いてたじゃん」
ステラの瞳が潤み、目が細くなる。
「お、俺は……誰かを娶るほど……その」
「私は……もっと、強くなるし」
ステラはウトウトと目を細めていく。
動揺するハルトを残し、ステラは静かになった。
レオンはジョッキに残ったビールを一気に傾け、座卓に置いた。
「良かったな!ハルト!」
「はあ?」
「レオン、お前は少し静かにしとけ!」
マキシムはレオンの隣に滑り込み、肩を押さえるとメニューを差し出した。
レオンは目を丸くしたままメニューを受け取った。
レオンが店員に注文をする声だけが響いていた。
「ハルト君……いいなぁ」
ニコが小さく呟く。
「は?俺は別に……」
「違くて……その、誰かに好きになってもらえて」
ニコはグラスを両手で持ち、揺れる水面を覗く。
イヴは静かにオレンジジュースを一口飲んだ。
レオンが慌てたように隣のイヴを押しのけニコの隣に座る。
「ちょっ!レオン狭っ!」
「ニコ!お前には俺がいるからな!」
「お兄ちゃん……」
「ずっと一緒だ!」
「でもお兄ちゃん付き合ってる人いるんだよね?」
レオンはあからさまに動揺し、目を泳がせる。
「お兄ちゃんも結婚しちゃったりするんだよね……寂しいな」
「……わかった。俺は結婚はしない!」
マキシムが頭をガシガシと掻きむしりながら突っ込む。
「そういうことじゃねぇだろ!本当に分かってねぇな」
レオンとニコは顔を見合わせると二人で首を傾げた。
イヴが深く息を吸い込み、立ち上がる。
レオンとは反対側のニコの隣に座った。
「……ニコ、アタシ達もこれからのこと話さなきゃね」
「これから?」
イヴは真っ直ぐニコを見つめ、頷いた。
「はっきりさせないと……」
イヴはレオンのジャケットを被り丸くなる男の背中に視線を落とした。
レオンは二人を交互に見ると瞬きを繰り返した。




