飲み会でクビ宣告ってあり!?
立派な座卓に並ぶ幹部の一同と他数名。
その表情は感情を失い、目は死んでいた。
お通夜のような飲み会が始まった。
とりあえずと頼んだ一杯がそれぞれに行き渡る。
アルヴァルトは嬉しそうに口角をあげた。
「では改めて乾杯しようか」
その時、入店の合図が鳴り響く。
「すみません、予約してた……あれ?」
目の前の異様な雰囲気に目を瞬かせる男が一人。
ゆるいスウェットに身を包む。
「義父さんもここだったの?」
ユーミルは顎に手を置いた。
「ノア、てっきり君の仕業かと思っていたよ」
「義父さんはここ知らないと思っていたのに」
靴を脱ぎながら座敷に上がる。
アルヴァルトはノアに向かって手招きをした。
「これからの話をしなくてはいけないからね」
「わざわざ義父さんも交えて?」
ノアは首を傾げた。
ヒロは串盛りに手を伸ばしながらぼやいた。
「なら早く話せよ……」
「いいから早く注文しろ」
サイラスはノアにメニューを渡す。
ノアは片手で断ると、微笑んだ。
「僕は義父さんの酒を」
「そうかい!」
アルヴァルトは店員を呼ぶともう一つお猪口を頼んだ。
嬉しそうに徳利を傾ける。
「では乾杯しようか」
「……かんぱーい」
雰囲気は最悪だった。
ノアはお猪口に注がれた酒を一気に飲み干す。
徳利を持ち上げるとアルヴァルトのお猪口に傾ける。
サイラスは何も言わずにお猪口を差し出す。
ノアも何も言わずに徳利を傾けた。
ヒロは眉を寄せながらノアに話しかけた。
「酒飲んだら自分の子供とか言いやがってよ」
「そうだよ」
「は?」
ノアは当然のように手酌をし始める。
くいっと一飲みするとヒロのお猪口にも注ぐ。
「これは儀式。親子になるための定例みたいなものだよ」
「いや、俺ちゃんと親いるし」
「まあ気にしなくていいんじゃない」
ノアはメニューを開くと適当に注文を始めた。
「後々、厄介なことにならないだろうな」
「それは分からないな」
ノアはクスッと笑うと目の前の浅漬けを摘んだ。
「もうー!私帰って寝たい!」
ステラがごろりと座敷に横になる。
マキシムは眉を寄せた。
「相変わらず、酒癖が独特だな」
「ステラ!ほらスカート!」
イヴは慌ててステラのスカートのスリットを合わせた。
「うー。イヴ膝枕して」
「アタシ!?」
ステラは甘えるようにイヴの太ももに頭を乗せた。
「ステラちゃんばっかりずるいよぅ」
ニコも反対側に無理矢理入り込むとイヴの太ももに頭を乗せ満足そうに笑った。
「ステラ、僕の膝空いてるよ」
ノアはステラに向かい、太腿をポンポンと叩く。
ステラは少しだけ目を開ける。
「アンタのは硬いから嫌」
「かた……」
ノアは静かにお猪口に口をつけた。
「……ったくよぉ、お前ら何してんだよ」
マキシムはエイヒレを咥えながら呆れたように見下ろした。
イヴは羨ましそうにノアの太腿を見つめた。
アルヴァルトは手を叩く。
「それじゃあ、これからのことを話そうか」
「……やっとかよ」
不機嫌なヒロが軽くヤジを飛ばす。
サイラスはステラに視線を移し、口を開いた。
「ステラは俺が貰う」
ノアは一瞬だけ目を見開くとサイラスを睨みつけた。
「……それは許可できない!」
ノアはお猪口をテーブルに叩きつけるように置く。
「お前の許可なんて必要ない」
「僕がエクリプスの頭だ。ステラは渡せない」
二人の親子の間にはバチバチと火花が散る。
アルヴァルトが思い出したように手を叩く。
「ノア、君はサンクチュアリから除名するよ」
「……へ?」
居酒屋は静まり返っていた。




