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貧乏大学生が酔った勢いで奴隷契約したら、美少女だと思った相手が男でヤニカスだった件  作者: 家宝ダンゴ
奪還作戦

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ナース服は反抗の証

「女装は男にしか出来ない……だと」


サイラスは目を見開いたまま、呟いた。

青天の霹靂だった。


ノアは顎に手を添える。


「……言われてみれば確かにそうですね」


素直に感心していた。

足元では四つん這いの幹部達が退屈そうに大きく口を開けていた。


サイラスは眉を寄せ、ノアを指さす。


「いや、だからと言ってこんな……露出の多い服を」


ステラとハルトが階段から降りてくる。


「確かにいつもより露出多いかも」


「だな。スカートの長さとか気合い入ってる」


自然な流れで会話に加わった。

ノアはスカートについた砂埃を払いながら口を開く。


「……別にいつも通りだけど」


「嘘つけ」


サイラスは深い溜め息をつくとアルヴァルトを向いた。


「いつもこうなのか?」


「いや、いつもは私が用意した時以外は女装しないんだがね」


「……用意、だと?」


サイラスは耳を疑った。


アルヴァルトは首を傾げる。

そして、少しだけ目を見開いた。


「まさか……」


ハルトがヘラヘラとノアを茶化す。


「ノア、親父さんに見せるために着てきたろ」


「あーなるほど」


ステラもニヤリと口角を上げる。

ノアは幹部達を休ませるとリードを手放した。

幹部達は目を細め、身体を伏せた。


カツン、カツンとヒールの音が響く。


「僕はこの子達が喜ぶと思って……」


「あーはいはい」


ノアは眉を寄せ、少しだけ唇を尖らせた。

アルヴァルトは嬉しそうに声を上げる。


「やはりそうだ!」


サイラスの肩に手を置く。


「サイラス、これは反抗期というやつだよ」


「反抗期?」


「ああ。うちの次男も反抗期が長く続いていてね」


「いや、あれはただのチンピラだろ」


アルヴァルトは止まらない。

頬を上げ微笑んだ。


「そうか、ついにノアにも……」


ノアは何も言えずに立ち尽くした。

その背後ではハルトとステラがニヤけていた。


「サイラス、歓迎会と同時にノアの反抗期祝いも盛大に行おうじゃないか!」


「わざわざ反抗期を祝うのか?」


「……やめてください」


ノアは小さく呟く。


「君はずっとノアと過ごす機会がなかっただろう。例え些細なことでもお祝いしようじゃないか」


「……確かに一理あるな。今まで祝えなかった分、息子の成長を愛でるのもありか」


「な、なにを言って……」


サイラスとアルヴァルトは手を上げ固く握り合った。


「そうと決まれば会場探しだな」


「いっそ建て直すというのも……」


「アル、時間がかかり過ぎるだろ。ここはクルーズ客船を貸し切って……」


「テーマパークの貸切なんてどうだい?」


サイラスとアルヴァルトは謎のハンドシグナルで合図を出し合う。

ノアは静かに二人のやり取りを見つめていた。


「それはいいな。子供はテーマパークが好きだろう」


「よし、では現地調査に向かうぞ!」


二人は肩を組み、半壊した建物を出て行った。


「……やめてよ」


項垂れたノアから小さく声が漏れた。

ハルトはノアの肩を軽く叩くと寄りかかる。


「俺も反抗期祝い行きたいからチケットよろしく」


「え?」


「私も貸切なら行きたい」


「……さいあくだ」


ノアはキョロキョロと八つ当たり先を探し出した。

何かを察知した幹部達がキュッと丸くなった。


ノアの視線は赤い絨毯の先に向いた。

カツン、カツンとヒールの音が不穏に響く。


ノアはニヤリと口角を上げると筋肉の塊の前で立ち止まった。


ミラが小さな声で呟く。


「ノア、これ重い」


「義姉さんにこんな酷いことをするなんて……」


ノアは手の骨を鳴らした。


「僕がしっかりとお仕置きしてあげますよ」


「私も、やる」


抑揚のない小さな声。

やけに廊下に響き渡った。


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