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貧乏大学生が酔った勢いで奴隷契約したら、美少女だと思った相手が男でヤニカスだった件  作者: 家宝ダンゴ
奪還作戦

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口だけじゃなく手も動かせ

やけに整った黒髪とスーツ。

服の上からでも分かる鍛え抜かれた身体。

その隣に立つ男もまた負けず劣らず、一般人とはかけ離れた佇まいだった。


「私達もそろそろ行こうか」


アルヴァルトは少しだけ口角を上げ、隣の男に視線を送った。


「ああ」


興味の薄いような短い返事。


「サイラス、今回は君のせいでもあるんだ。本気で制圧してくれるかい?」


サイラスは眉を寄せ、アルヴァルトを睨みつけた。


「いや。元はと言えば、アル、お前が無断で引っ越ししていたせいだろ!」


アルヴァルトは数度、瞬きを繰り返す。


「……私の主人は的確に嫌なところを突いてくるな」


そして、フッと息を漏らした。


「実に懐かしい気分だよ」


「……」


サイラスは何も言わずに歩き出した。

その背中の後を追うアルヴァルトの瞳は、変わらず暗いままだった。




古びた劇場だった場所は、怒声や呻き声に包まれていた。


レオンは何故か味方だったはずのミラと戦闘を繰り広げていた。


「おい!お前、俺を狙っているだろっ!」


「……狙ってない」


抑揚のない、小さい声。


その声と同じように小さい手で握られた銃口は、迷いなくレオンに向けられる。


パァン。

乾いた音。


レオンは近くのテーブルの後ろに飛び込み、ギリギリ回避する。


「レオン、隠れるの卑怯」


「ひ、卑怯!?誰かこのバカを止めてくれ!」


レオンの決死の叫びもスルーされる。

ルシアンが男の胸ぐらを掴みながら通りかかる。


「レオン、お手柄だ。お前はこのままミラを引きつけろ」


「なっ……」


「選別がしやすくなるからな」


ルシアンはレオンの肩を軽く数回叩くと、ズルズルと男を引き摺り立ち去った。


レオンは目を見開く。

自分への助けは来ないことを悟っていた。



その頃、二人のステラは螺旋階段で色恋営業を再開していた。


「ずっと待ってました!思いっきりお願いします」


「待たせちゃってごめんね♡」


鋭い蹴りが男の顔面に突き刺さる。

そのまま歓喜の呻き声と共に、男は階段を転がり落ちていった。


「ハルト!あんたいい加減にしな!」


明らかにイラついた様子のステラは目の前の男が口を開く前に蹴り上げ、文字通りに蹴散らしていく。


階段の下を通りかかったサイラスは、二人のステラに目を細めた。


「……いい動きだな」


アルヴァルトが転がり落ちてくる男にトドメをさしながら口を開く。


パァン。


「あの子達はエクリプスの幹部だよ」


「ああ、知ってる。歓迎会で会ったからな」


「歓迎会か……うちでも盛大にやるかい?」


「そのうち、な」


パァン。


アルヴァルトはそっと顎に手を当てる。


「早めに手配をしないといけないな……」


「まだいいだろ」


アルヴァルトは首を左右に振ると、息を吐いた。


「モタモタしていては忘年会のシーズンが来てしまうよ」


パァン。パァン。


「ならその後でも……」


「その後は新年会のシーズンだよ」


「そうか……ならば簡単な立食パーティーが妥当だろう」


アルヴァルトは少しだけ黙り込み、深く頷いた。


「……悪くないな」


乾いた音が響く。

赤い絨毯は色を濃く変え、広がっていた。


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