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貧乏大学生が酔った勢いで奴隷契約したら、美少女だと思った相手が男でヤニカスだった件  作者: 家宝ダンゴ
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死んだ名前は胸筋の中

ロボットのように不自然に動く大男。

ユーミルは自身の額を押さえていた。


「……つまり、自分の口からは言えないということだね」


「そういうことだ!」


「なんでだよ!おまっ何か知ってんなら教えろよ!」


マキシムがレオンに噛み付く。


「マキシム、何か理由があるのかもしれない。今は待とうよ」


「だけどよぉ!」


「まあまあ……」


ユーミルがマキシムを諭す。

二人の声を背中で聞きながら、レオンは部屋を出て行った。


正面にあるエレベーターに乗り込む。

ゆっくりと扉が閉まる。


軽く壁にもたれると小さく息を吐いた。


「……危うくバレるところだったな」


レオンは自身の左胸に手を置いた。

ぐっと服を掴む。


エレベーターはレオンを乗せ、下へ下へと降りて行った。



やや薄暗い照明。

レオンは見知った道を迷いなく進む。

金属製の扉に手をかけた。


金属の擦れるような音が廊下に反響する。


「いるか?」


返事はない。


部屋の奥から小さく話し声が聞こえる。


「……なので、明日……」


「僕が……から、義父さんは……」


レオンは何も言わずに壁にもたれ掛かる。

胸ポケットからタバコを取り出し、火をつけた。


「いつも以上に必死だな」


煙を吐きながら、通話が終わるのを待ち続けていた。



静かになる部屋。

ノアが姿を見せる。


「終わったのか?」


ノアはチラリとレオンに視線を送る。

デスクの引き出しからタバコを一箱取り出す。


口に咥える。


「火」


レオンは慣れた手つきでライターを近づけた。


深く一吸い。

ふわりとのぼる煙。


「……うま」


脳に染み渡る感覚に目を細める。


「……セレスに吸うなって監視されてたからさ」


「やっと吸えたよ」


レオンは呆れたように口端を少しだけ上げた。


「それで非戦闘員をわざわざ集めて人間ドックさせたのかよ」


「そゆこと」


「お前の掌の上だったってことか」


ノアは上っていく煙を目で追う。


「この先はどう転ぶか分からないよ」


「アイツ、一体何者なんだ」


口元の笑みがスッと消えていく。


「……僕にこれを教えた人」


ノアは手の中で銃をくるりと回す。


「俺はこの施設に来てから習ったが」


「……もっと前」


レオンは深く息を吐いた。

灰皿に灰を落とす。


「やはり、エリアス……か」


「レオン、エリアスはもう死んだんだよ」


「……そうだったな」


レオンはそっと左胸に手を置く。


煙はゆっくりとのぼり、散るように消えていった。



「それで、これからどうするんだ?」


モニターの光が当たり、白い肌がさらに青白く見えた。

クスッと口元に手を当て、目を細めた。


「レオン、運動不足だろ?」


「まあ確かにな」


レオンは徐ろに自身の腕の筋肉を触り、育ち具合の確認をする。


「……マラソン大会なんてどう?」


「は?マラソン?有酸素運動か?」


「みんなには頑張って走り抜けてもらおうか」


「それはヒロ防衛と関係あるのか?」


「もちろん。戦闘は極力起きない方がいいだろ?」


レオンはフッと息を吐いた。


「お前らしいな」


薄暗い部屋で、カタカタとキーを叩く音は響く。




入院用ベッドが並ぶ部屋。

カーテンの隙間からは朝日が差し込む。


シャッ。シャッ。

カーテンを開ける音。


朝日は容赦なく、閉じた瞼に突き刺さる。


「……う、もう……朝ぁ?」


イヴは、乱れた髪の毛に軽く指を通す。


「イヴ、おはよう」


目の前には、ニッコリと微笑むノア。

入院着からはチラリと鎖骨が覗く。


イヴが大きく息を吸う。

みるみる赤く染まっていく頬。


「い、い、いやぁぁぁぁああ!」


爆音の奇声。


「うるせぇぇ!」


マキシムが布団を蹴飛ばし、飛び起きる。


「ノ、ノアのしゃこっ鎖骨っ」


イヴの呂律は死にかけていた。

そして、気付く。


「アタシ、メイクしてな……」


イヴは急いで布団で顔を隠す。


「ノア!お前もわざとやってんだろ!」


「別に、ただのモーニングコールだよ」


「普通に起こせ!」


マキシムは頭をガシガシと掻く。


ふわりとバターの香りに鼻がくすぐられる。


「なんか美味そうな匂い」


「ご飯出来てるってよ」


ノアはガラスのテーブルを指さす。


「早く言え!おいイヴ、ユーミル起きろ!」


「飯だぞ!」


マキシムは上機嫌でみんなを起こしていく。


ノアは起き出した仲間たちの背中に視線を送る。

ニヤリと口端を歪めた。


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