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貧乏大学生が酔った勢いで奴隷契約したら、美少女だと思った相手が男でヤニカスだった件  作者: 家宝ダンゴ
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偽葬式、終了のお知らせ

物騒な言葉とナイフが飛び交う即席の葬儀会場。

ギリギリで回避するノアの後ろには点々とナイフが突き刺さる。

鬼の形相のステラの手には銀色が煌めく。


「ス、ステラ落ち着いて!」


「今度こそ殺す!」


「キズが、キズが開くっ!僕を殺す気?」


「そう言ってんでしょ」


眉を寄せたままナイフを振るう。

ノアはハルトの背中に逃げ込む。


「おい!こっちくんなよ!」


「ハルト、早くステラを鎮めて!」


「……なんでか迎えに行った時からすげー機嫌悪かったんだよ」


ハルトは、くるりと後ろにまわり込むと、ステラにノアを差し出した。


「ステラ、これ好きにして良いから落ち着け」


「ハルト、手を貸すぞ」


レオンがすかさずノアを保定する。


「この裏切り者!」


二人がかりで押さえ込まれる。

少しだけ抵抗してみたノアは、やがて諦めて力を抜いた。


ステラがナイフを高く振り上げる。


ノアはギュッと目を閉じる。

八つ裂きを覚悟していた。



──しかし、何も起きない。



ノアは恐る恐る片目を開ける。


目の前のステラは目を潤ませ、ナイフを下に落とした。


カシャン。

金属の音が響く。


そのままノアの肩にもたれかかった。

ハルトとレオンは顔を見合わせると、ノアからそっと手を離した。



「……言ってよ、バカ」



「ごめん」



部屋は静かになりかけた。

葬式のセットの端に客役として座っていたマキシムの嗚咽と鼻を啜る音がうるさく鳴り響いた。


イヴが遅れて式場にやってくる。


「あれ?マキシム……なんで、また泣いてんの?」


「くぅっ、ステラがいじらしくてよぉ」


「……いじらしい?」


イヴは首を傾げ、会場を見回す。

壁と床に突き刺さるナイフ。


ノアの肩に寄りかかるステラに視線が止まる。


「か……肩ズンーーーッ!」


イヴの奇声が響き渡る。


ステラの肩がピクリと跳ねる。

ノアの肩から離れ、踵を返す。


長い黒髪が揺れる。


「次、死んだら許さないから」


「うん……」


珍しくノアは真面目な返事をした。


エリザが手を叩く。


「ドッキリは済んだかしらン?お片付け始めるわよ♡」


「はぁーい」


イヴが元気よく返事と共に黒と白の幕を外していく。

レオンは祭壇を分解しながら呟く。


「こんな手間かける意味あったのか?」


「ノア、ステラに何されたんだ?」


ハルトはニヤニヤと目を細め、揶揄うようにノアとステラを交互に見た。



「……別に」


ステラは椅子に座り、脚を組んだ。

その頬は少しだけ色付いていた。




葬式セットは無事撤去され、一同はガラスのテーブルを囲む。


エリザが紅茶を振る舞う。

上品なティーカップからはふんわりと茶葉の香りが漂った。


ザビィが気まずそうに、席を立った。


「……じゃあ俺はこの辺で」


「行かせないよ」


ノアはティーカップを持ち上げ、こくりと喉を動かす。


「は?どういう……」


「お前、僕にケンカ売っただろ?」


「あ……」


「そのまま帰すわけないだろ」


透き通る青い目がスッと細くなる。


「セレス」


「はい」


ノアは立ち上がり、ザビィをビシッと指さす。


「下剤地獄行き」


「はいはい。大腸検査ですね」


セレスは眼鏡をクイッと上げると、口元を歪めた。


「えっ?えっ?」


ザビィの戸惑う声が響いていた。


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