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貧乏大学生が酔った勢いで奴隷契約したら、美少女だと思った相手が男でヤニカスだった件  作者: 家宝ダンゴ
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花より団子はローストビーフと推し

地下の掃除を済ませた一同は、階段をのぼりレオンの部屋に向かっていた。


「音立てるなよ!」


慎重に行動していた。


ダンベルが綺麗に並べられた部屋。

ベンチプレスやマシーンが鎮座する。


レオンがふと立ち止まる。

自身の胸筋に触れる。


「少し育てていいか……?」


「バッカ野郎!んな暇ねえだろうが!」


「もうレオン!ローストビーフが待ってるって!」


「冗談だ……」


「嘘つけっ!」


マキシムとイヴに背中を押され、マシーンの前を通過していった。


下の階の玄関から外に出て、一斉に走り出す。


「なんか隠れんぼみたいでドキドキしたあ!」


「おいおい、まだ油断すんなよ?」


急いで大通りのタクシーに乗り込む。


駅前の信号で止まるタクシー。

その横を見覚えのある男が通り過ぎていた。


──ヒロ。


「あっヒロじゃん。やばっ……隠れなきゃ!」


急いで身を隠すイヴとレオン。


ヒロは視線を下げ、歩く姿は明らかに元気がなかった。


「……ヒロ」


イヴは顔を半分だけ出し、眉を下げた。

罪悪感でいっぱいになっていた。


レオンは小さく息を吐く。


信号が変わり、タクシーは動き出す。

ヒロはどんどん小さくなり、すぐに見えなくなった。


タクシーの車内は静かなまま、施設に向かう。




施設に到着すると、ピンク色のスーツを着たオネエが立っていた。

ミニスカートからは筋肉質な脚が伸びる。


「……あれだろ」


「あれだな」


短い会話。

一言で全て伝わった。


イヴはニッコリと笑って駆け寄る。

レオンがイヴの手を掴む。


「イヴ、待て」


「な、なに!?」


「こいつはエリザじゃない」


エリザはクネクネと身体を動かす。


「やぁねぇ♡レオンってばぁ〜忘れちゃったのン?」


「くっ言いたくはないが……エリザは俺をレオンちゃんと呼ぶ」


レオンは悔しそうに拳を握りしめた。


「つまり……ハルトだな」


「ハハッ。御名答」


ハルトは両手で顔を隠し、軽く擦る。

パッと両手を離すと顔がエリザからレオンに変わる。


「どう?こんな感じでいい?」


イヴは目を丸くし、瞬きをする。


「すごっ……レオンにしか見えない!」


「俺ってこんなか?」


レオンだけが納得いかずに首を傾げていた。

尚、レオンの顔の下はピンクのミニスーツだったが誰も突っ込まなかった。


ユーミルは、笑いを堪えながら上を指さす。


「……人目もあるし、上で話そうか」


一同は施設の中へと入っていくのだった。




最上階に上るエレベーター。

大きな扉が一つだけそこにはあった。


レオンが扉の前に立つと、自動で開く。


ふわりと香ばしい香りが漏れ出る。


「……いい匂いする!」


イヴは匂いに釣られて部屋の中に吸い込まれた。

その後ろを追いかけるようにマキシムが駆ける。


「おまっ!俺も腹減ってんだぞ!」


「早い者勝ちだし!」


レオンの顔をしたハルトが呆れたように指をさす。


「なに、飯食べてなかったの?」


「潜伏生活だったからな」


「潜伏……なんで?」


「黒幕を追っていた」


レオンは真面目な返答を繰り返す。

ハルトは腕を組み、首を傾げた。


「旧中枢じゃないのか?ザビィもそう言ってたけど?」


「旧中枢側にやっかいなヤツがいる……サイラスだ」


「知らねー」


ハルトは軽かった。


部屋の中に入ると、正面にガラスのテーブル。

テーブルの上には所狭しと皿が並ぶ。

湯気がふんわりと立ちこめる。


「いらっしゃい♡」


ピンクのフリル満載のエプロンをつけたエリザがくるりと振り向いた。


「あらぁん♡レオンちゃんってばぁ!か・わ・い・い♡」


"ピンクのレオン"(ハルト)に駆け寄り腕を組む。

異様な力の入り具合にハルトは動けなくなっていた。


「えっ、ちょっと、違っ!俺、レオンじゃないって」


エリザは、本物のレオンとハルトを見比べた。

何度も視線が行き来する。


「この際、どっちもありよぉン♡」


両方の腕を掴み、両手に花を物理で勝ち取った。

二人のレオンの表情が完全に消えていた。


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