闇夜に咲く華の正体は……
一気に静まる監視室。
違和感を感じたレオンが顔を出した。
「……何か分かったのか?」
「あっレオン!これ見て!」
モニターに映るのは化粧品の会社。
「なんだこれは?」
「ここが怪しいって話してたの!エリヴェール・コスメティクス!」
「この会社……このロゴどこかで見たな……」
レオンは腕を組み首を捻る。
「おまっ!またかよ!」
「……だめだな。少し時間がかかりそうだ」
レオンは簡易ベッドに腰を落とした。
頭を押さえて記憶を辿る。
「この会社、エリヴェール・コスメティクスのCEOがロデリック・ブラックウッドっていうんだけど」
「ロデリック……そいつなら知っている。このロゴも、そうか……」
「お!思い出したんだな!」
レオンはホルスターから銃を取り出し、銃のマガジンを引き抜く。
「え?ちょっとレオン!?」
弾を装填しマガジンを戻す。
カチャ。
金属の音。
「殺す」
最強の男の殺気がビリビリと伝わる。
ユーミルが銃に手を置く。
「レオン……勝手な報復は混乱を招くよ。まずはノアに現状を報告しよう。それにまだサイラスとの関係も分かっていないんだから」
「ロデリックなら内部の情報も簡単に流せる。サイラスを匿う事だって簡単だ!」
「おいおい、だとしたら早くノアに通信しようぜ!」
マキシムは赤く点滅するボタンに手を伸ばす。
レオンが立ち上がり、マキシムの腕を掴む。
「あいででで!……てめぇ!なにしやがる!」
「あ、悪い」
レオンはマキシムの手を離す。
マキシムは手を軽く振り、掴まれ少しだけ赤くなった手首をさすった。
「アイツに言うまでもない、ロデリックを殺せばすぐに分かる」
「レオン!変だよ!」
イヴがレオンの腕を引っ張る。
「なんでノアに言わないの?」
レオンは視線を落とす。
「それは……アイツが悲しむ」
「はあ?ついに筋肉で脳みそが逝っちまったか?」
マキシムは仕返しとばかりにレオンの背中をバシバシと叩く。
レオンはびくともせず、小さく息を吐いた。
「……ロデリックはノアの世話係だ」
「ま、まって!ノアのお世話係ってエリザさんでしょ?」
レオンはゆっくりと三人を向く。
「エリザの本名が……ロデリック・ブラックウッドだ」
「え、偽名だったの?」
イヴは目を丸くする。
「おい、あいつは男だぞ。エリザベスが本名な訳がないだろ」
「そ、そうだけど……」
「それとあの会社のロゴ……ヒロがエリザからもらった紙袋に同じものが書いてあった」
「アイツで間違いない」
ユーミルは白い髪をくるくると指に絡めた。
「サイラスとの関係は未確定だけど、旧中枢と関係があることは確かか……レオン、これはノアに報告するべきだよ」
「だが……」
「こうしてる間にもロデリックがノアと接触する可能性もある。いち早く報告しようよ」
レオンは少し間を置き、静かに頷いた。
イヴが点滅するボタンを押した。
カチッ。
モニターが一斉に起動する。
AIのノアが椅子に座り、脚を組む。
スッと立ち上がり両手にピースを作る。
「イェーイ!ノアだよ!」
「……」
監視室は静まり返っていた。
ノアはピースを下ろし、キョロキョロと画面の向こうを見回した。
「……あれ?」
「通信悪い?」
「おーい!」
マキシムがユーミルを見る。
「こいつメチャクチャはしゃいでるぞ。この状態で伝えるのか?」
「……仕方ないよね」
「ユーミル、任せたぜ!」
「……」
とても言いにくそうにユーミルは口を開いた。




