終点でお星様になるところでした
星空の下を高速で走るトロッコ。
先に気付いたのはマキシムだった。
「なあ、これどこまで行くんだ?」
「……さあ?」
イヴはプラネタリウムを見上げながら、ぼんやりと答えた。
「これって……止まるのか?」
「そりゃ、乗り物だしブレーキとかあるでしょ!」
「ないぞ」
レオンの短い返答。
「はあぁぁ?」
「トロッコは基本ブレーキがついていないからな」
少し誇らしげに、胸を張るレオン。
「この筋肉バカ!このトロッコどうやって止めんだよ!」
「さあな。いつかは止まるんじゃないか?」
マキシムとイヴは焦りに焦っていた。
「このままだと下手したら死ぬぞ!」
「レ、レオン何とかしてよ!」
イヴの目が潤み出す。
無情にもプラネタリウムが消え、線路の先から光が見えてきた。
「嘘っ……こんなとこで死ぬの?」
「今年の重賞レース期待してたのによぉ!」
諦めモードの二人を両脇に抱えるレオン。
「怪我したら悪い」
「……レオン!」
「お前しかいない!頼むぞ!」
光に飛び込む瞬間。
トロッコから飛び降りる。
何かが壁にぶつかるような大きな音。
思わず目を閉じる非力な二人。
しかし、衝撃はいつまで待っても来なかった。
ゆっくりと目を開く。
目の前には大破したトロッコ。
足元にまでコロコロと車輪が転がる。
「あと少し遅かったら……」
イヴが真っ青になり立ち尽くす。
「死んでたな」
さらっというレオン。
照明のついた部屋を見回す。
「ここは……」
「なに?レオン知ってる場所?」
扉を開き、廊下に出る。
「知ってるも何も……ヒロの家の地下だ!」
「え?家に帰ってきちゃったの?」
ちょうどその時、レオンのスマホが鳴る。
「進捗はどう?そろそろノアのPCを見つけて
、イヴがハッキングし終わった頃かな?」
ユーミルだった。
レオンは少し言いにくかった。
「それが……」
「まさか何も見つけてないってことないよね?君たちが出て行ってから時間を稼ぐのに僕がどれほど苦労していると思ってるの?」
ユーミルの静かな怒りを感じ取ったレオンは、そっとイヴにスマホを渡す。
「あ、レオン逃げたね。ということは、優位な発見はなかったってことかな?」
「ユーミルあのね……」
「僕が命懸けで交渉しているのに、まさか遊んでたなんてことはないよね?」
「うっ……」
イヴは何も言えなかった。
イヴはマキシムに無理矢理スマホを渡した。
「あーユーミル、あのな」
「とにかく目的を忘れないでね」
プツッ。
通話終了。
三人は顔を見合わせて、息を吐いた。
「ユ、ユーミルのためにも早く結果出さなきゃね……!」
イヴは改めて拳を握りしめた。
ハッと顔を上げた。
「ここがヒロの家ってことは、アタシの部屋に行けば楽勝じゃん!」
「……残念ながらそれは無理だ」
「え?」
レオンは気まずそうにイヴから目線を逸らした。
「ザビィはイヴの部屋のことを知ってたからな。もう手が回ってるだろ」
「アタシを売ったの!?」
「違う!あいつが元から知ってたんだ……」
レオンは長い廊下を歩き出す。
イヴとマキシムはその後ろに続く。
マキシムは頭をガシガシと掻く。
「ん?つまりどう言うことだ?」
「……アタシ達以外にも旧中核に情報を流したヤツがいるってこと」
「裏切り者ってことか?でもよ!ノアは」
イヴは静かにこくんと頷く。
「幹部に裏切り者は、いないって」
「アタシ達を知ってる外の人間……」
マキシムはゴクリと喉を鳴らした。
「誰なんだ……」
「それは……」
立ち止まり、息を飲む。
「今から調べるの!」
イヴは握りこぶしを突き上げポーズを取った。
「……そうかよ!」




