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貧乏大学生が酔った勢いで奴隷契約したら、美少女だと思った相手が男でヤニカスだった件  作者: 家宝ダンゴ
終わりのはじまり

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うちの奴隷は準備が良すぎる

翌朝。


ヒロはソファで目を覚ました。


いつ寝たのか覚えていない。


重い体を起こす。


テーブルの上には飲みかけのコーヒー。


昨夜のままだった。


ぼんやりと天井を見る。


夢なら良かった。


そう思った。


だが。


現実は変わらない。


ノアはいない。


レオンもいない。


イヴも。


ニコも。


何も変わらない朝だった。


「おはようございます」


サクラが声を掛ける。


いつも通りだった。


「……おはよう」


ヒロの返事は小さい。


朝食の匂いがする。


だが食欲はなかった。


しばらく沈黙が続く。


やがて。


サクラが封筒を差し出した。


「ヒロ様」


ヒロは顔を上げる。


見覚えのある封筒だった。


昨夜。


受け取りを拒否したもの。


「ノア様からです」


胸がざわつく。


ヒロは少しだけ迷った。


それでも。


ゆっくりと受け取る。


封筒は軽かった。


中身も薄い。


恐る恐る封を開く。


中に入っていたのは一枚のカードだった。


「……なんだこれ?」


名刺ほどの大きさ。


文字もない。


模様もない。


ただのカードにしか見えなかった。


その瞬間。


『声認証パスワード クリア』


機械音声が響く。


ヒロは固まった。


「へ?」


『第二セキュリティコード クリア』


「はあ?」


『第三個人識別コード クリア』


サクラも目を瞬かせる。


『システム始動』


ヒロはカードを裏返す。


何もない。


表を見る。


やはり何もない。


「なんなんだよこれ!」


思わず叫ぶ。


ヒロはサクラを見る。


「知ってるか?」


「いいえ」


サクラは首を横に振った。


「私にも分かりません」


その時だった。


ブゥゥゥン――


低い機械音がどこからか響く。


ヒロは顔を上げた。


「なんだこの音……」


音は止まらない。


耳を澄ませる。


そして。


「地下からか?」


サクラも頷いた。


二人は顔を見合わせる。


急ぎ足でノアの部屋へ向かった。


押入れの階段を下りる。


地下室。


薄暗い廊下。


奥から機械音が聞こえてくる。


音を辿る。


やがて一つの扉の前で足が止まった。


前に一度だけ見せてもらったことがある。


監視室だった。


扉は開いている。


中では赤いランプが点滅していた。


規則的に。


まるで二人を呼ぶように。


ヒロは手に持ったカードを見る。


すると再び音声が流れた。


『ボタンを押してください』


ヒロは監視室を見回す。


そして赤く点滅するボタンを見つけた。


「ボタンってこれか?」


『シークレットワード認証 クリア』


「だからなんなんだよ!」


ヒロは半ばやけになりながらボタンを押した。


カチッ。


小さな音が響く。


次の瞬間。


監視室のモニターが一斉に点灯した。


眩しさにヒロは目を細める。


ザーッ。


ノイズ。


画面が揺れる。


古い映像のように乱れた。


「なんだこれ……」


ヒロが呟く。


数秒。


映像は安定しない。


砂嵐。


ノイズ。


途切れそうな映像。


やがて。


画面が切り替わった。


少し荒い画像。


薄暗い部屋。


椅子。


机。


誰かが座っている。


ヒロは目を細めた。


見覚えがあった。


金色の髪。


青い瞳。


細い肩。


そして。


『僕、死んじゃった?』


ふっと笑う声。


ヒロは息を呑んだ。


「……ノア」


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