奴隷を海に放ったら密漁しかけたので全力で止めた
※本作はギャグ・コメディ中心の作品です。
※倫理・制度・恋愛要素などは深く考えず、ゆるくお楽しみください。
「よし!」
ヒロはビーチボールを抱え直した。
「せっかく海に来たんだ。遊ぶぞ!」
「やったー!」
イヴが元気よく手を挙げる。
ニコも笑顔だった。
「負けないよ!」
ビーチボールが空へ上がる。
イヴが打ち、ニコが返す。
ようやく海らしい時間が始まった。
そのボールをレオンが受け取る。
「レオン」
ヒロが声を掛ける。
「待て」
遅かった。
ドォンッ!
強烈なスパイク。
ビーチボールとは思えない速度で飛んでいく。
「きゃー!」
イヴが笑う。
「速い!」
ニコも楽しそうだった。
「お前ビーチボールで本気出すな!」
「加減したぞ」
「絶対嘘だろ!」
再びボールが上がる。
今度はレオンのレシーブが高く浮いた。
風に流される。
一直線にパラソルへ向かった。
「サクラ!」
ヒロが叫ぶ。
サクラは顔を上げると、飛んできたボールを自然な動作で受け止めた。
ぱしっ。
綺麗な音だった。
「おお」
思わず感心する。
サクラは少し照れながらボールを返した。
「どうぞ」
「ナイスキャッチ」
「ありがとうございます」
そのやり取りにイヴとニコも拍手した。
そこへ。
「……もらった」
ミラが戻ってくる。
両手には紐。
その先には大きな発泡スチロール箱が繋がっていた。
「何だそれ」
「魚」
即答だった。
蓋が開く。
鯛。
イカ。
見たことのない魚。
箱いっぱいに詰まっている。
「漁師と仲良くなりすぎだろ」
ヒロは額を押さえた。
サクラが箱を覗き込む。
「早めに内臓を外した方がよさそうですね」
「……あるよ」
ミラがどこからかナイフを取り出す。
「おい!ここで出すな!」
ヒロの叫び声が響く。
その頃。
沖の方からノアが戻ってくる。
両手に何かを抱えていた。
「ヒロ」
「見て」
嫌な予感しかしない。
視線を落とす。
ウニ。
鮑。
ノアは満足そうだった。
「落ちてた」
ヒロは固まる。
数秒固まる。
そして叫んだ。
「バカ!」
海岸中に響く大声だった。
「密猟だぞ!」
ノアが首を傾げる。
「拾っただけだけど」
「拾うな!」
ヒロは鮑を指差した。
「戻してこい!」
「えー」
露骨に嫌そうな顔をする。
「焼いて食べよう」
「ダメだ!」
即答だった。
ノアは海を見る。
鮑を見る。
海を見る。
「……さよなら」
渋々海へ向かう。
「取った場所に返してこい!」
返事はなかった。
そのまま潜っていく。
ヒロは深いため息を吐いた。
本当に危なかった。
数分後。
ノアが戻ってくる。
「お前、知らないでやったのか?」
「うん」
ノアは素直に頷いた。
「ツマミになりそうだったし」
「現地調達」
「やる前に調べろ!」
ヒロのツッコミが飛ぶ。
レオンは腕を組んだ。
「食えないのか」
「お前まで残念そうにするな!」
イヴは笑いを堪えている。
ニコも肩を震わせていた。
ミラだけは真剣だった。
「……また貰ってくる?」
「行くな!」
ヒロが即答する。
海は広い。
だが問題児達の行動範囲も広かった。




