義姉さんは合法ロリ
※本作はギャグ・コメディ中心の作品です。
※倫理・制度・恋愛要素などは深く考えず、ゆるくお楽しみください。
カラン。
ドアベルが鳴った。
「いらっしゃいませ」
ヒロはいつものように笑顔を向ける。
そして。
顔が引き攣った。
そこに立っていたのは、小柄な女の子だった。
黒いゴシックドレス。
長い黒髪。
整った顔立ち。
そして無表情。
ヒロはこの少女を知っていた。
アルヴァルトの長女。
ミラ。
ヒロの頭の中で警告音が鳴り響く。
――危ないので近付かないように。
ルシアンの忠告が脳内で再生された。
「いや……」
ヒロは思わず呟く。
「あっちから来てるんだが……!」
ミラは小さく口を開いた。
「……ノア、いる?」
声は小さい。
だが聞き取れた。
「あ、はい」
ヒロは反射的に答える。
完全にビビっていた。
ヒロの異変に気付いたノアが駆け寄ってくる。
「義姉さん!」
ノアの表情が明るくなった。
「いらっしゃい」
ミラは小さく頷く。
「ノア、それも可愛い」
ノアのメイド服を見ているらしい。
「ありがとう義姉さん」
ノアは自然に笑った。
「義姉さんの方がずっと可愛いよ」
さらりと甘い言葉が飛び出す。
ヒロは引いた。
「お前そんなキャラだったか?」
ノアは気にした様子もない。
「義姉さんだからね」
そう言うとミラを席へ案内した。
ヒロも様子を見るため近くに立つ。
メニューを開いたミラは動かなくなった。
じっと見ている。
ページをめくる。
また止まる。
考える。
また止まる。
「そんな悩むか?」
ヒロは思わず聞いた。
ノアは微笑む。
「悩んでる顔も可愛いな」
「お前キャラ違くねえか」
ノアは首を傾げる。
「僕にとって義姉さんは理想の女性像だから」
ヒロは思わず口を開く。
「ロリ――」
だがノアの方が早かった。
「わかってるだろうけど義姉さんは年上だよ」
ヒロは少し胸を撫で下ろした。
「ならいいけど……」
ノアは顎に手を当てる。
少し考えた。
「あ、でも合法ロリではあるか」
「その言い方やめろ!」
ヒロのツッコミが飛んだ。
ミラは気にした様子もない。
しばらく考えた後。
小さく口を開く。
「……ノア、注文」
「はい」
「これ全部」
ヒロは固まった。
「はあ?」
ミラが指差している。
ケーキ。
タルト。
パフェ。
ドリンク。
ほぼ一ページだった。
ノアは平然としている。
「かしこまりました」
「かしこまるな!」
ヒロは思わず叫んだ。
「絶対食べきれないだろ!」
「いいから」
ノアは厨房へ向かう。
数分後。
テーブルは大変なことになった。
色とりどりのスイーツが所狭しと並んでいる。
ヒロはその光景を見て呟いた。
「意外と大食いなのか?」
ミラは無表情のままフォークを手に取る。
ショートケーキを一口。
静かに食べた。
そして。
終わった。
手が止まる。
フォークも動かない。
ミラはじっとケーキを見つめていた。
「大食いどころか普通以下じゃねえか!」
ヒロが叫ぶ。
ノアは嬉しそうだった。
「義姉さん、無理しなくていいよ」
ミラは小さく頷く。
その時だった。
ヒロは違和感に気付く。
よく見る。
目が潤んでいた。
手も震えている。
「泣きそうになってる!」
ヒロは思わず身を乗り出した。
「なんで!?」
「ケーキ食いきれなくて!?」
ノアは幸せそうに微笑む。
「ほんとに義姉さんは可愛いな……」
ヒロはノアを見る。
目が潤み、頬が少し赤い。
口元が歪んでいる。
完全に危ない顔だった。
「その顔やばいから外でやんなよ」
ヒロは真顔で言った。




