倫理観の狂った義父の新築祝いなんてフラグでしかない
※本作はギャグ・コメディ中心の作品です。
※倫理・制度・恋愛要素などは深く考えず、ゆるくお楽しみください。
朝。
眠そうな顔のノアがリビングへやってくる。
髪は少し跳ねたまま。
そのまま冷蔵庫を開け、水のボトルを取り出した。
ヒロは朝食を食べながら、その姿をちらりと見る。
「そういえば、新築祝いどうするんだ?」
ノアは水を一口飲んでから、少しだけ考えるように目を細めた。
「僕が準備しとくよ」
「義父さんの趣味、僕の方が詳しいだろうしね」
そう言って、にやりと笑う。
その笑みが妙に不安を煽った。
「そ、そうか……?」
ヒロは少しだけ引きつりながら頷く。
「じゃあ頼むな」
言ったものの、不安しかなかった。
そして――その日は来た。
新築お披露目会当日。
ヒロは慣れないスーツ姿のまま、鏡の前でネクタイを直していた。
隣ではレオンもスーツ姿で腕時計を確認している。
「レオンも呼ばれたんだな」
ヒロが声をかける。
レオンは露骨に嫌そうな顔をした。
「これも仕事だ」
「お前も大変だな……」
そのとき。
部屋の扉が開く。
出てきたのは――普段着姿のノアだった。
ゆるいパーカー。
ラフなパンツ。
どう見ても高級パーティーへ向かう格好ではない。
ヒロと目が合う。
「おい」
ヒロが眉をひそめる。
「そんな緩くていいのか?」
ノアは気にした様子もなく、冷蔵庫から水を取り出した。
「僕はあっちで着替えるから」
「またチャイナドレスか?」
以前の姿を思い出しながらヒロが聞く。
ノアは水を飲みながら首を振った。
「今日はスーツ」
「へぇ」
「向こうでエリザが準備してる」
その瞬間。
ヒロとレオンの表情が同時に曇る。
「……大丈夫か?」
「エリザだぞ?」
ノアは水のボトルを口元から離し、不思議そうに首を傾げた。
「何が?」
まったく不安に思っていない顔だった。
ヒロはレオンと顔を見合わせる。
嫌な予感しかしない。
だが、ノアはそんな二人を気にも留めず、水を冷蔵庫へ戻すと立ち上がった。
「ほら、行くよ」
その言葉とともに。
不穏なお披露目会が始まろうとしていた。




