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貧乏大学生が酔った勢いで奴隷契約したら、美少女だと思った相手が男でヤニカスだった件  作者: しけもく
消えた奴隷たち事件

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奴隷が大変なことになってるのに我が家の飯はうまい

※本作はギャグ・コメディ中心の作品です。

※倫理・制度・恋愛要素などは深く考えず、ゆるくお楽しみください。

黒い服の男たちに囲まれたまま、ノアは膝をついていた。


呼吸が荒い。


肩が上下する。


「……はぁ、は……」


掠れた息。


視線は定まらない。


どう見ても、消耗していた。


小太りの男が鼻で笑う。


「さっきまでの威勢はどうした?」


靴先でノアの肩を軽く蹴る。


反応は鈍い。


「商品なら商品らしくしろよ」


嘲り。


真壁は何も言わない。


ただ見ている。


ノアはゆっくりと顔を上げた。


視線が一瞬だけ、小太りの男に合う。


縋るように見つめる。


「……確認、しなくていいの?」


弱々しい声だった。


意味を測りかねたように、小太りの男が眉をひそめる。


「は?男だろ。」


ノアはゆっくり顔を上げる。


呼吸は荒い。


「……本当にそう思う?」


ノアは少しだけ体勢を崩す。


足がわずかにずれる。


布が動く。


ほんの一瞬。


意図的に、見せる。


小太りの男の目が止まる。


「……」


思考が止まり、一歩近づく。


「……どっちだ?」


ニヤリと笑い距離を詰める。


警戒が緩む。


周囲の男たちも動かない。


「……一応、確認が必要だな」


欲が勝つ。


布を開くためにナイフを手に持つ。


手が伸びる。


その瞬間――


ノアの呼吸が止まった。


そして、動く。


最短の軌道。


足首を蹴り、男の重心を奪う。


「っ!?」


小太りの男の体勢が崩れる。


ノアはそのまま男の肩に両手を置き、背後に回る。


同時に腕を首に回し手錠の鎖を巻きつける。


一気に、締める。


完全に入った。


「動くな」


声が変わる。


低く、はっきりと。


さっきまでの弱さは消えていた。


小太りの男が持つナイフが床に落ちる。


カラン。


金属の音。


男の苦しそうな声が響く。


空気が凍る。


周囲の男たちが動きを止める。


一瞬の静止。


ノアは呼吸を整える。


荒さは少し残っている。


だが、視線は完全に戻っていた。


真壁を見る。


まっすぐに。


「……随分雑な管理だね」


鎖の擦れる音と同時に漏れる男のくぐもった声。


「どうする?」


静かな圧。


真壁の目が細くなる。


沈黙。


数秒。


やがて、真壁が口を開いた。


「……下がれ」


短い命令。


男たちが一歩引く。


ノアは力を緩めない。


小太りの男の膝がぐしゃりと地面に着く。


足元のナイフを拾う。


手でくるりと回し真壁に向ける。


「さて」


ノアが静かに言う。


「話をしようか」




一方、その頃。


ヒロの家。


テーブルの上には料理が並んでいた。


サクラの手料理。


温かい湯気。


やけに家庭的な光景だった。


ステラが箸を伸ばす。


「うまっ」


迷いがない。


ハルトは缶を開ける。


「ビールに合うな」


軽く笑う。


空気は緩い。


さっきまでの裏社会が嘘みたいだった。


そのとき。


ピンポーン。


チャイムが鳴る。


サクラが立ち上がる。


「はーい」


軽い足取りで玄関へ向かう。


扉を開ける。


そこにいたのはイヴだった。


「お裾分けにきましたー!」


明るい声。


手には皿。


ころころとしたミートボールが乗っている。


「いっぱい作っちゃった!」


ステラがすぐに反応する。


「いいじゃん!食べる!」


ハルトも身を乗り出す。


「追加でいけるな」


賑やかになるリビング。


笑い声。


軽口。


いつもの空気。


だが、その中で――


ヒロだけが少し離れていた。


窓辺。


灰皿。


そこに残る吸い殻。


ノアのもの。


ヒロはそれを見つめたまま、小さく呟く。


「……大丈夫なんだよな」


返事はない。


ただ、夜の気配だけが、静かにそこにあった。

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