37話 魔女狩り
次の日、俺達はさっそく行動に移した。
ギルドマスターには事情を説明し、いざという時は街から逃がす計画についても話しあった。
その際「君達はすでにギルドの仲間だ。仲間が害されそうになった時は我々は断固として戦うよ。だからなんでも自分達でやろうとせず、相談しなさい」と言ってもらい、少し肩の荷が軽くなった気がした。
マイトとジュネにはきちんと説明し、特にマイトには怪しい奴がいないか警戒してもらうことにした。
マイトの索敵能力はダンジョンでの訓練を通して鋭敏になっており。すっかり俺よりも上になっている。
「しかし兄貴、心配しすぎじゃないか?本当に魔女狩り部隊が来るとは限らないじゃないか・・・」
「確かに来ないかもしれないが来るかもしれない。実際に来たとき何も準備をしていなかったせいでアプリを奪われてみろ。魔女狩りの連中に捕まった人間の末路は知っているだろう?
常に最悪を想定し準備をしておくにこしたことはない」
魔女狩りに捕まった人間は魔女にせよ、そうでないにせよ待っているのは殺してくれと願うほどの拷問。その際回復術と回復薬の併用によって、いくら苦しんでも死ねず、いずれ精神が壊れる。
そこまでいってからようやく火炙りにするという。
魔女廃絶派の奴らの言い分では魔女とはこの世の魔の元だから、徹底的に廃絶すべしということらしい。
「う、うん・・・アプリ姉をそんな目には絶対合わせないよ。頑張るよ!!俺」
そういうとマイトは走り去っていった。
気合いが空回りしないといいが・・・
アプリには今回の件も含めてもう少し危機感を持ってもらうために魔女狩りの話をする事にした。
「まず、話して置かなきゃならないのは魔女狩り部隊が本気になったらまず俺ではかなわないだろう。奴らは1人1人が魔女と単独で戦えるレベルまで鍛え上げられており、また殉教をいとわない兵士で構成された集団だ。
また奴らのバックには神聖帝国の存在があり、金、人材、情報全てにおいて世界最大の国家からの支援がある」
「・・・でもさすがに私1人のために魔女狩り隊がギルドに戦争を挑まないのではないですか?」
「ここから先はあまり知られていないんだがな・・・魔女狩りの連中は田舎の村に魔女がいると聞けばすぐに部隊を派遣する。その際、村の所属する国は帝国からの圧力、脅迫、籠絡何でもありで黙らされる。
今回アプリに目を付けたとした場合、おそらく以前から目障りだったギルドを潰しにくる可能性が高い。
さすがに帝国に攻められたらギルドの戦力はそちらに回さざるおえない。その隙にアプリは攫われるだろう」
「そんな・・・」
「まあ、そんな奴ら思い通りにさせる気は無いがな。
アプリの事は俺達が絶対に守る、約束するよ。
だからいざという時は俺達を信じて側にいてくれ」
少し脅しすぎたかなと思いつつアプリの頭を撫でる。
「でも・・・ジャンでもかなわないって」
「アプリを担いで逃げることくらいはできるさ。
それに俺達には仲間がいるだろ?1人じゃかなわなくても力をあわせれば奴らに一泡吹かせてやれるよ」
「・・・私1人のためにみんなが危ない目にあうなんて」
「アプリ1人のためだけじゃない。これは世界中の魔女達のためにも退けないことだよ。
ギルドマスターが言うには『ギルドが匿ってきた魔女はすでにかなりの人数になる。そろそろ帝国の圧力も無視できないほどになりつつある。
いい機会だ、あちらから攻めてくるというなら受けて立とう。全ては我々の自由と仲間のために』ということらしい。
俺も母さんやマーチのこともあるからな、帝国の所業を認めるわけにはいかないさ。
何よりアプリを渡すつもりは無い」
俺は決意を込めて言い切った。
「でも・・・」
「俺のことを信じらんないかな」
「そんなこと無い!!」
「なら約束しよう。アプリが俺のことを信じてくれるなら俺は絶対に負けない」
アプリの手を握りしめ瞳をじっと見つめる。
「・・・わかりました。でもただ守られるだけじゃなく、私も戦います!!」
「うん、その意気だ」
アプリの頭を撫でながら誓いを新たにする。
俺の勝利条件はアプリを守りつつ仲間も守る。
後はできればアプリが追われない状況を作り出すこと。
難しいかもしれないがやるしかないな。
それからしばらくは静かな日が続いた。
何事も無いまま更に数ヶ月たったころ、ギルドマスターに呼び出しを受けた。
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