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27話 ジャンVS魔術師

リングに上がり、相手を睨む。


「なあ、わざわざこの試合やる必要あるのか?すでにこちらは2勝してるんだ」


「だまれ!!まだだ、貴様をこの手で倒してアプリ様の目を覚ましてやる」



「まあいい、格の違いを教えてやる」



「我が名はマセラティ!!殲滅の魔術師マセラティだ。

将来の魔導王だ覚えておきたまえ。

では・・・いくぞ」



マセラティは名乗りをあげると防御魔術を発動した。



「我は願う、炎熱の王よ、我が怨敵を焼き尽くせ、彼の者が生きた証をこの世から消し去り、浄化せよ。『聖炎』」


マセラティが詠唱を終えるとその両手から白い炎が湧き上がった。



「おいおい、待っててやったんだから殲滅呪文くらい出せよ」


黒剣を抜き迫りくる炎を切り捨てる。

炎は斬られた途端消えていった。



「ふん、これは小手調べだ。その油断を悔やみながら死ぬがいい」



マセラティは地面に魔術の触媒となる聖水を撒き散らし、魔法陣を出現させた。


「四界の王よ、顕現せよ。炎熱の王、氷結の王、疾風の王、大地の王よ。我は願い、乞い、頼み、差し出そう。我の敵を倒す力を、消し去る力を、王の力を、魔力と彼の敵の魂を持ってここに契約はならん。

四界の力が交わりて全てを奪う王の力、暗黒はここに生まれる。

さあ、泣いて命を乞え、これから貴様に迫り来るは逃れられない死そのものだ。

くらえ!!『黒天地獄』」



長い長い詠唱を唱えるとマセラティの周辺には濃密な魔力がまとわりだし、次第に炎、氷、風、土の魔神の形をとった。魔神達はマセラティの目の前で融合し1人の漆黒の魔神になった。


詠唱が終わり、マセラティがこちらにむけて腕を振ると、漆黒の魔神は一気に周辺に広がりあたり一面を暗闇に変えた。



「これは・・・暗黒物質を用いた空間魔術か・・・

このままここにいたら収縮する空間に潰されて跡形も無くなる。だが空間は斬ることも破壊することもできない・・・か。

すごい技術だな、伊達に狂信者たちのリーダーなだけあるか」



考えながら移動し、迫り来る壁を見やる。


「しかし今回は相手が悪かったな。


『悲しき宿命も、迫り来る不幸も、避けられぬ運命も・・・この剣をもって全て切り裂く!!我に断てぬ物無し!!』」



自分への暗示の言葉を唱え、脇構えから一息に剣を振り抜く。

自分自身の限界を超え、空間をも切り裂く真の『龍断ち』は目の前の壁に一筋の線を引いた。



その線を中心に暗黒の壁にはヒビが広がっていき、一気に崩れ落ちた。



「ハ~ハッハッハ!!私の勝ちだ。アプリ様~勝ちましたよ~!!」





「ジャン・・・」


アプリが泣いている・・・遊びすぎたか・・・



「すまないな、心配かけたか・・・」



「えっ!?何故だ・・・何故出てこられる!?

私の魔術は完璧なはずだ!!」



「ああ、相性が悪かったんだろ?

すまないがこれで終わりにさせてもらうぞ」



言いきると同時に距離を詰める。


「く、くるな~」


マセラティは手を前に向けると指輪に魔力を注ぎ込む。

どうやら魔導具らしい。


距離を詰めたところでマセラティの指輪から炎が吹き出す。


「あたらなければ、意味はない」


横に回り込み炎をかわすと相手の腕に峰打ちを打ち込み、手を下げさせる。

後ろに回ると膝裏に蹴りをいれひざまずかせ、首に剣を添える。



「さて、まだやるか?」



「く・・・殺せよ」


「後始末が面倒くさいから殺さんよ。

さっさと仲間を引き連れて帰れ」



首根っこをつかんで相手の方に投げ飛ばし、こちらもリングから降りた。



「さて、勝ったぞ。

アプリ、俺達はこれからも仲間だ」


アプリの方を見ながら、そう告げると堰を切ったように涙をあふれさせた。



「ジャン、ジャン、ジャン・・・無事で良かった!!

ジャンに何かあったら私、私・・・」



「すまんな、心配かけたか。

大丈夫だ、みんなを悲しませるようなことはしない、約束する」




アプリの頭を撫でつつみんなの方を見る。


「さて、飯食いに行かねえか?俺もう腹へって死にそうだよ・・・」


フェブは腹を押さえながらこっちに歩いてくる。


「そうだな、今日の打ち上げってことでパーッといくか」


「じゃあ、オイラ達のバイトしていた店にしないか?

あそこなら安いし量があるしサービスもしてくれるぞ」


「マスターに友達連れてたまには顔をだせっていわれてるしね」


マイトとジュネも賛成した。



「ほら、アプリさんも泣き止んでください。

アプリさんのためのお祝いですよ」


ユリもアプリを慰めるように頭を撫でてくる。



「うん、今日はみんなありがとうございました」



まだ目は赤いがアプリは満面の笑みをうかべた。




それから俺達はマイト達の働いていた酒場に行き、夜中まで騒いだ。

いつも拙作をお読みいただきありがとうございます

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