13話 初めての授業、ギルドについて
説明多め
ついに、今日から養成所の授業が始まる。いつも通り朝の鍛錬を終えると、寮で軽く水浴びをして汗を流し、寮の食堂でフェブ、アプリと合流、朝食を一緒に食べることになった。
「今日は講堂でお偉い人達の話しを聞いて、そのままギルドについての講義をやるらしいぞ」
「うぇっ!あのギルドマスターも話すのかな。なんか無駄に話長そう・・・」
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「本当に長かったな・・・」
「後ろの方で魔術師っぽい奴ら何人か倒れてるぞ・・・」
「いや、というかアプリも俺にもたれてぐったりしてるし」
「うぉっ本当だ!お前のでかい体に隠れて見えんかったぜ」 「さすがに2時間もただ立ってるのは後衛職にはつらいかもな・・・しかも話がつまらんときた」
「途中からギルドマスターの自慢話になってたもんな」
「さて、一旦休憩らしいから外の空気でも吸いに行くか」
「じゃあ中庭にでも出るか・・・俺、食い物と飲み物調達してくるわ、アプリ嬢の事は任せたぞ」
「わかった、場所はとっておく」
背負っていたアプリをベンチの上に寝かし、自分はその横を陣取ってフェブを待つことにした。見渡す限り同じように外の空気を吸おうとした人がうろうろしている。ベンチを先に手に入れられたのは幸運だったらしい。
この養成所には毎年約300名近い人が入る。先程はその人数が室内に詰め込まれていたからアプリは人酔いも併発したらしい。
さっきからアプリはずいぶん注目されているな。通りかかる人が皆視線を向けてくる。そのたびに寝ているはずのアプリはうなされている気がする。視線を感じているのか?そしたら達人レベルだが・・・とりあえずじろじろ見てくる奴は睨んで追っ払っとくことにした。
フェブ遅いな・・・する事が無いのでアプリの髪を撫でてみる・・・
めちゃくちゃさわり心地いい・・・
無心で撫でているとアプリが目を覚ました。
「おはよう」
「えっ、あれっ、ジャンどうして?えっ、えっ、えっ・・・」
「落ち着け、式典の最中に気絶したんだよ。覚えてないか?」
「あ、そうでした、なんかクラクラっとして・・・ご迷惑おかけしました」
「迷惑ではないかな、他にも魔術師っぽい奴らは倒れてたから・・・今、ジャンが昼飯買いに行ってるからもう少し横になっているといい」
「あ、ではお言葉に甘えて・・・私田舎で育ったのでこんなたくさんの人に囲まれたことほとんど無かったんですよ。だから周り全てが人で埋め尽くされると息が詰まるような気がして気持ちが悪くなって・・・思わずジャンの服の裾を掴んだことまでは覚えているんですけど・・・」
「そっかぁ・・・」
「と、ところで・・・な、なんで頭なでてるんですか?」
「ん?嫌だったか?うなされてるみたいだったから撫でてるうちにさわり心地がよかったもんでね」
「いえ!別に嫌じゃないです」
「そっか、良かった。あ、フェブようやく戻ってきたか・・・」
立ち上がり、こちらを探しながら歩いてくるフェブに向かって手を振る。
「悪ぃ、悪ぃ、売店混んでてな・・・ん?どうした~アプリ嬢そんなに睨むなよ、もう少し時間かけた方が良かったか?」
「べ、別にそんな睨んでなんかいないです」
「そうか~あちこちで美女と野獣がいちゃついてるって噂たってたぞ~」
「はいはい、さっさと飯食うぞ、急がんと講義始まっちまう、アプリもフェブ」
フェブを適当にいなしてパンに手を出した。
「ジャンは野獣じゃないです・・・」
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・・・
午後からの講義を受けるために講義室にはいると既に席は殆ど埋まっていた。何とか教室の隅に空いている席を見つけ3人固まって座った。
「う~ん、やっぱり出遅れたか。録に先生の姿見えないな」
「まあ、いいんじゃないか?声は聞こえるし、話がつまらなかったら居眠りもし放題だ」
「真面目に聞きましょうよ」
「ん?始まるな」
「皆さん、はじめまして。この授業では皆さんにギルドと冒険者について知ってもらいます。皆さんも大雑把な事は知っていることと思いますが、今一度細かく知っていただこうと思います。
古来より冒険者のような活動をしている人々はいたとされています。そういった人々は権力者などに報酬を渋られたり、手に入れた宝の価値を誤魔化されたりと搾取されやすく、大成出来るのは本当に一部だけでした。そんな日々を何とかしようと引退した冒険者達が中心となって冒険者のための互助組織を作った物がギルドの始まりでした。最初は依頼の窓口と手に入れた宝の買取などを細々と続けていただけでした。それが今では冒険者の要望により、鑑定、パーティの募集や斡旋、銀行窓口、果ては冒険者の再就職の斡旋まで行われています。 またギルドが大きくなり、登録された冒険者の人数も増え、力が増していくと様々な国がギルドを囲い込もうと画策し始めました。
一つの国に囲い込まれる事を嫌った当時のギルドの中枢は各国にギルド憲章を認めさせることに成功し、中立である象徴として当時、開拓地としてまだどこにも所属していなかった、今の自由都市連合にギルドの本拠地を置いたの。
ギルド憲章とは
一、ギルドは常に中立を保つ
二、ギルドは冒険者の権利を守る
三、ギルドはギルドの権利を守る
四、ギルドは依頼者の人権を守る
五、ギルドはギルドの敵に回ったものには容赦はしない
の5箇条で出来ています。細かく決められていないのは、ある程度ギルドマスターの裁量でどうとでもなるようにわざと穴だらけにしたとされています。
ちなみに過去ギルドに手を出した国が3つほど壊滅しています。
そうやって今の場所にギルドの本拠地ができ、そこから世界中の支部に指示がでます。また本拠地周辺には冒険者やギルドの職員をあてにした商人などが集まり、未開の地に最初の自由都市フリーダが生まれました。この街を含め自由都市はギルドが管理しているわけではありませんが、住人に冒険者やギルド関係者が多いため、これらの街を攻撃すると必然的にギルドに喧嘩を売ってしまうため、不可侵となっています。ここまでで質問はありますか?」
そう言って講師の女性は学生を見渡した。すると前列から
「国を壊滅させたってどうやってですか?流石に国と戦争できるだけの兵力はないと思いますが・・・」
「・・・一番最近滅んだ国では侵略国家ボルトンがあるわね。あれを滅ぼしたのはギルドの誇る最高戦力、S級冒険者10人よ。あなた達がなる冒険者の頂点S級冒険者は1人1人が一騎当千の戦士や魔導師です。
ギルドランクについてですが、あなた達は3年養成所で鍛えて卒業後E級冒険者として登録されます。ここから依頼をこなして評価を上げると月に一度の考査で昇級や降級が決まります。降級はよっぽどの違反や依頼の連続失敗などがない限りありませんが。級が上がるほど、より高度な依頼を受けることができます。
ただし考査だけで上がるのはC級まででB級以上は特定の魔物討伐などの試験も受けなくてはなりません。またS級はA級で試験を合格した後に現在のS級と決闘を行わなくてはなりません。その際S級のなかでも剣士なら同じ剣士のように同じ職業限定となります また10人のS級にはそれぞれ代々受け継がれている称号があります。
当代最強の剣士『剣聖』
拳闘士『拳神』
槍使い『槍王』
重騎士『鉄壁』
棒術師『不殺の棒』
弓術師『魔弾の射手』
魔術師『魔導王』
偵察者『漆黒の闇』
召還者『悪魔使い』
精霊術師『精霊王』
これはギルド開設当時の最強パーティの10人の二つ名がそのまま受け継がれています。
ちなみにS級のメンバーは全員、中級龍は単身で倒せます。当代の剣聖は剣一本で最上級の龍を斬り捨てましたし、魔導王は中級までなら群ごと殲滅できます。
皆さんの中にも将来のS級冒険者がいるかもしれませんね。 それにはこれからの努力が大事です。皆さん頑張って下さいね。
今日はここまでにしましょう。
質問のある人は後で聞きに来て下さい」
そう言って講師の女性は講義室を出て行った。急いで講義室をでると後を追いかける。
「すみません。質問いいですか?」
「はいはい、何かしら」
「当代の剣聖とはもしかして『デイリー・アーク』といいますか?」
「ええ、そうよ。良く知ってるわね、もしかして知り合い?」
「ええ、まあ。『龍断ち』を見せてもらったことがあるので、もしかしたらそうかと・・・」
「・・・もしかしてジャン・アークくんかしら」
「はい、そうです」
「聞いてるわよ。歴代最強の剣聖の愛弟子でしょ?あなたには期待しているわ。あなたならきっといつか『剣聖』の称号も得られるでしょう。現状に満足せず常に努力なさい。昨日より強い自分を日々思い描きなさい」
「はい、ありがとうございました。頑張ります」
「はい、ではまた明日の講義で会いましょう」
「どうしたんだ急に走り出して?」
後ろからフェブとアプリが歩いてくる。
「いや、さっきの講義で出た『剣聖』って父さんのことかなって思って聞いてみたんだ。父さん前に地龍を斬ったって言ってたしね」
「デイリーさんが?あ~納得、てっきり講師のお姉さんに一目惚れしたかと思ったぜ」
「そうですか~。で、お父さんは『剣聖』だったんですか?」
アプリはホッとした顔をしながら話しかけてくる。
「ああ、やっぱりそうらしい。通りであんな強い筈だ」
そうして3人で雑談しながら寮に帰って行った。
いつも拙作をお読みいただきありがとうございます。




