12話 初デート?
なんだか甘い感じになってしまった。後悔はしていない
いつもの癖で日も登らないうちに目が覚めてしまった。巨人族用のキングサイズベッドから身を起こすと、軽くストレッチを行い、着替えて外に出た。
「ん~、こんな街中で剣振るわけにもいかないよな。走り込みと体術だけにしとくかな・・・」
まだ街中が眠っているなか、徐々に体を暖めながら走りだした。
街を3周ほどしたころ、徐々に起き出す人が増えてきたので走り込みをやめ、広場で体術の型を一通りこなした。全身にうっすらと汗をかいた頃、ふと視線を感じたため振り向くと、そこにはアプリが立っていた。
「朝、早いんですね」
「ああ、小さい時から朝の鍛錬は日課だったからね。体に染み付いてるんだ」
「そうなんですか・・・私のことは気にせずに続けて下さい」
「いや、きりが良いからもう止めようと思ってたんだ。アプリはこんな朝早くにどうしたの?」
「私は早朝の散歩です。朝日の中、まだ街中が微睡んでる時間の空気って、私好きなんです。
ジャンは剣士じゃないんですか?」
「どうして?」
「今までやっていた、体術の型が凄い洗練されていて、なんていうか・・・綺麗というか朝日と相まって神々しさまであるというか・・・」
「ああ、一通りの武術は父さんに仕込まれたからね、俺は中でも剣術と体術が好きで特に熱心に行ってたから、このふたつは自信があるんだ。でもそこまで褒められたのは初めてだよ。ありがとうアプリ」
磨き上げてきた技量が褒められるのが嬉しくてお礼を述べたら、アプリは照れて頬を染めていた。
「いえ、そんな・・・そうだ!もう終わりなら朝ご飯一緒に食べましょう?今からなら寮の食堂もすいてると思いますよ」
「いいね、体動かしたら腹減ったし、さっさと飯にするか」
2人で朝食をとっているとフェブがふらふらしながらあらわれた。
「おはよ~、朝から仲良いな、おふたりさん」
「おはよう、仲間なんだ仲良いのが当たり前だろ?・・・どうした?何か具合悪そうだな」
「いや、昨夜寝るにはまだ早いなと思って、ちょっと酒場に顔だしたら、ついつい飲み過ぎちまってよ」
ドワーフの悪い癖である大酒飲み。フェブも他聞にもれず物心ついたときにはもう酒を嗜んでいたらしい。ちなみに俺は酒で理性を無くしたら暴走するかもしれないので呑まない。
「アル中め・・・ろくに金もないくせに」
「うっせぇ、僧侶みたいに禁欲してる奴に言われたくねぇよ。この街の店はギルド提供だからプレートを提示したら全品半額になるんだと・・・あ~気持ち悪ぃ」
「はい、お水です」
いつのまにか水を取りにいっていたらしくアプリはコップの水を差し出した。それを一気に煽るとフェブはテーブルに突っ伏した。
「いやいや、アプリ嬢は聖女さまじゃないかね。見ろよこの幼なじみにして親友の俺が苦しんでいるのに、冷たい視線しか寄越さないデカブツを・・・あ~悲しくなってくるね」
「はいはい、めんどくさいから今日はもう部屋で寝てろ」
「ううぅ、こんなもん迎え酒さえすれば・・・」
「お前、明日もそうしてるつもりか?大人しく明日からに向けて休め」
「あぁぁ、鍛冶屋覗きたかったのに~。すまん、おやすみなさい」
そう言ってフェブはとぼとぼと部屋に帰って行った。
「さて、それじゃ、朝飯食べて行こうか」
「えっ?どこにですか?」
「昨日話したろ?街の見物と日用品買い出しに行こう」
早朝の静けさが嘘のように街は活気にあふれていた。まだ酒場や食堂などは開いていないようだが、行商人や明日に向けて準備をする学生などによって道はかなり混雑し始めている。
「さて、まずはどこから行こうか・・・適当にぶらついてみるか?」
「そうですね。午前中はそうして、午後から必要なものを買いましょうか・・・っ!すみません」
体の小さなアプリは人ごみに飲み込まれてしまいそうになっている。
「ほら、掴まって。俺の後ろについて来て」
「は、はい・・・ありがとうございます」
キュッと服の裾を掴み後ろをついてくる。照れくさいのを隠しつつ、目の前の人ごみを割りつつ近くにある雑貨屋にはいる。
「は~思ってたより活気があるな」
「そうですね・・・人に酔いそうです」
「ここは・・・雑貨屋か」
「いらっしゃい。この時期は新しくはいる学生などを目当てに行商人なんかもいつも以上にいるからね。初めての人は驚くんだよ。まあゆっくりしていきな」
店の奥から店主らしきお婆さんがでてきた。
「そうなんですか・・・すみません、お世話になります」
「いいよ、いいよ。所で兄さんや、そこの彼女に何かプレゼントせんか?ほれ、この指輪などどうだい?冒険者の街らしく呪いの耐性があがるよ」
「わ、私は、あの、その・・・」
「ふ~む、婆さんこの指輪程度の加護でこの値段は無いだろう。それにこの子は魔女だ、呪いはほとんど効かんよ」
「ふむ、見かけによらず目利きがきくのう。ではこちらのペアリングはどうじゃ?これを付けた者同士は互いのいる方向と距離が大体わかる、彼女を守りやすくなるだろう?おまけでこちらの魔導具をつけてやろう。これは指輪と組み合わせる魔導具でこの板を割ると一度だけペアの指輪のもとへ転移させてくれる、どうじゃ?」
「ふ~む(確かに便利ではあるデザインもいいし・・・)よし、買った」
「えっ!そんなペアの指輪だなんて・・・高いですし」
「う~ん、どうがんばっても指に入らないかな・・・鎖通して、ネックレスにするか。婆さん、ネックレスにするのに良いチェーンないか?」
「じゃあ、このチェーンがいい。強化の魔術がかけてあるから簡単には切れない」
「よし、買おう」
「ありがとうね。じゃあもう少し道がすくまでゆっくりしていきなさい」
「ほら、アプリ、手出して?君の分、これでダンジョンとかではぐれてもいつでも守れるよ」
「あ、ありがとうございます」
アプリは頬を染めながら大事そうに指にはめた。
しばらくしてピークをすぎたのか少し人ごみがすいてきた。再び外に出るとアプリは服の裾を掴んでついてきた。
そこからは屋台の串焼きを食べたり、宝石屋(魔石がメイン)を覗いたり、薬屋で二日酔いの薬(フェブへの土産)を買ったりして午前中を過ごすと食堂に入り、休憩する事にした。
「ふ~疲れたな~」
「疲れましたね~。もう寮に戻りますか?」
「いや、服と日用品だけでも買わないと、着替えも最低限しか持ってきてないからな~」
「じゃあ午後からも頑張りましょうか」
そして午後からは2人で服屋と本を数冊、それにタオルなどの日用品を買い出しして寮に戻る頃には夕方になっていた。
「今日は楽しかったよ」
「私も楽しかったです。指輪まで買って頂いて、ありがとうございました」
「いや、大切なパーティの仲間だからな、これからもよろしくな」
「は、はい。よろしくお願いします」
フェブに二日酔いの薬を渡した後、3人で晩飯を食べ、明日に備え早く休むことにした(というか俺とアプリは買い物と人ごみに疲れ切っていた)
いつも拙作をお読みいただきありがとうございます。
自己満足で書き始めた小説も思った以上に読んでくれる方がいることに驚くと同時にとても嬉しく思います。
日々増えるPVを糧になるべく毎日更新頑張ります。




